桜香

4月も中旬に入り、桜の花がはらはら散るようになりましたが、まだまだお花見は続いています。

大阪・造幣局の桜も満開で、通り抜けの様子が先日ニュースで報じられていました。
矢張り花の数ほどの人の群れ?で、数年前に行った時の混雑ぶりを思い出しました。

お花見と云えば、根尾谷の淡墨桜、そして吉野の一目千本と云われる桜もまた見事でした。
何といっても桜の花は美しく、お花見は気持ちを晴ればれと明るくしてくれます。(^O^)

名古屋で桜(ソメイヨシノ)の開花宣言がなされたのは3月22日で旧暦如月の二月十六日。
今日は旧暦弥生の三月八日ですから、桜の季節は如月から弥生にかけてということになります。

志野流香道で用いられる志野袋の二月(如月)の花結びが桜となっているのも頷けるというものです。
(花結びは旧暦で考えると良く合っていると思います。)

桜の時季に遊ぶ組香の一つに「桜香」があります。

◆香は四種
一 初春として 四包で内一包試
二 如月として 同断
三 弥生として 同断
客 花 として 三包で無試

◆聞き方
①初春、如月、弥生の試みを聞いて香りを記憶します。
②初春、如月、弥生の各三包と花三包の計十二包を打ち交ぜ、二包を除き、十包を炷き出します。
二包ずつ組み合せて聞き、記録紙には次のように書きます。(記紙には一、二、三、ウで答えます)

一一は初春、二二は如月、三三は弥生
一二は白雲、二一は白雪、三一は木影
一三は下臥、二三は横雲、三二は枝折
一ウは夕映、二ウは尋花、三ウは朝花
ウ一は曙 、ウ二は見花、ウ三は夕花
ウウは色香

花が出た数に応じて、次の歌を記の奥に記します。
花が一炷出れば
桜花咲きにけらしなあしひきの山のかひより見ゆるしら雲
(古今和歌集 春歌上59 紀貫之)

花が二炷出れば
おしなへて花のさかりに成りにけり山の端ことにかゝるしら雲
(千載和歌集 春歌上69 円位法師=西行)

花が三炷出れば
み吉野の山べにさけるさくら花雪かとのみそあやまたれぬる
(古今和歌集 春歌上60 紀友則)

香道の心得 ◆卯月◆ (4)終

 四季の部はまた月別に細分しています。この頃ですとやはり桜を題にした組香が多く、中でも「桜香」は客香の出る数によって桜の開花していく様を鑑賞させ、あるいは白雲、白雪、枝折、色香、下臥……と桜に関する情景を想わせるような名目が次々に出てきて、殊の外、我々を引き付けます。こうした組香を聞いていますと、実際に桜狩にと思うことがしばしばです。そのような時のためにでしょう携帯用の香具も好まれています。十五世・閑斉のそれは、銅の内張りをした竹製の香炉と竹筒に納めた火道具を矢立風に腰に下げられるようにしてあり、また先代は火道具を折りたたみ式にして諸具と共に小箱に納めるようにし、しかも男性用、女性用の二通りを作っています。その香炉の蓋裏に「草枕旅にゆかしき手すさひの是にまされるものあらむには」の自詠を記し愛用していました。香室を離れ、観桜しながら聞香するのも一興と言えましょう。
組香は、旧作を繰返し鑑賞していますが、やはり新作されて行く性質を有しています。是非、現代にふさわしいものも作成されるべきだと思っています。