後の月は…

先日8日は旧暦九月十三日、19時前の夜空には「後の月」が輝いていました。
今年は、旧暦八月十五日の中秋の名月と後の月の両方を見られたので、縁起が良いのかもしれません。

昨日今日になって、「後の月・十三夜」を題材にした、あるいは香名に取り上げた組香はないのかしらん、と思い調べてみました。
過去に行なった組香など、ざっと調べてみましたが、どうもそのような組香はないようです。

季語の世界では、ただ単に「月」といえば、秋の月を指すことは自明のこと…。
組香にしても、香名に「月」とあれば秋の部に分類されているようです。

特に旧暦八月の望月は中秋の名月として親しまれ、旧暦九月には望月ではなく十三夜を後の月として愛でています。
思えば、古くから主役としてど真ん中に位置するのは十五夜・中秋の名月。
後の月・十三夜はどこまでも「後」であっていわば添え役の月、とても主役にはなり得ないようです…。
加えて、二つの月は一ヵ月近く日数が空いていて、組香などで併記するには焦点がぼやけてしまいそうです。
組香の香名・名目に後の月・十三夜が出てこないのは致し方ないところです。 (^^)

尤も、後の月・十三夜はどちらも香銘集にはその名が収録されています。

組香の香名や名目に、待宵(十四夜)、望月(十五夜)、十六夜(不知夜)が三つ揃って出てくる組香はいくつかあるようです。
【雲月香】【月見香】【仲秋香】は名目に、【三夜香】【秋月香】では香名に、これら三つの月が揃って登場します。
矢張り、中秋の名月・十五夜は堂々たる主役です。 (^^)

昨日、新聞の新刊書広告に夏井いつき著『瓢箪から人生』(小学館)が載っていました。
4万部突破と四角く囲ってあります。
一冊1350円+税ですから、4万部となると……、頭の中で電卓のkeyが踊りました。

著者はTV番組「プレバト」でお馴染みの超人気俳人。
キップの良さと明快な語り口、見事な添削と的を得た解説は視聴者のハートを鷲掴みしているようです。
単行本はTV番組を彷彿とさせる文体で、まるで今年の十五夜、そして後の月のようにくっきり明快、一気に読み終えてしまいました。
面白い!

俳句の大衆化に触れて、「富士山が美しいのは、広くて豊かな裾野があるからだ。」との一文には、確かにその通り!といたく納得し共感しました。 (^^)

キイジョウロウホトトギス【紀伊上臈杜鵑】が明日にでも開花しそうです。
シノノメホトトギス【東雲杜鵑】ももうすぐです。