壺荘(つぼかざり)

開炉に合わせて、宇治の茶師から壺におさめられた新茶が届けられる茶家は、今でもあるやに聞いています。
茶家では開炉に続いて、壺の口を切る「口切の茶事」が行なわれ、届いた新茶を石臼で引いて一座建立の茶事が催されるようです。
写真や映像で見たことはありますが、当方には茶の入った壺は届きませんし、石臼で茶葉を引くこともありません。

抹茶は、茶葉を石臼で引いてつくられていますが、ただ細かな粉末にすればいいと云うものではなく、美味しく感じられる適当な大きさの粉末(粒子)にする事が大事で、それには茶葉の質もさることながら、石臼が大切な役目を担っていると、以前TV番組で見たことがあります。

ところで、裏千家茶道の小習事のひとつに「壺荘」があります。
小習事としては、茶壺の拝見の仕方を習うことが眼目となっていますが、口切りの茶事などでは壺に緒をかけて飾る場合があり、一度は緒を結んでおく必要があります。

ということで、重い腰を上げて、実際に結んで見ることにしました。

初座の床には、口緒を結び、網に入れた壺を飾っておきます。

口切りの茶事では、習いに従って壺の拝見を終えたら、初炭を直し、懐石の後、中立(なかだち)となり、亭主は壺の紐を結んで、床などに飾っておくという手順になります。
『茶の結び緒』(淡交社)を参考にしながら、長緒、乳緒を久しぶりに結びましたが、何回も練習して身についておれば、緒は数分で結べそうな感じですね。(私的には1回で十分です…)

いっぺんに、炉開き、口切りの気分になりました。

香道一口メモ・58【三組盤】

多分に遊戯性の強い盤物は時代によっては似合わないところがあり、現在では三組盤と呼称する一つの器具に納めた競馬香、吉野の桜・竜田の紅葉の春秋を競う「名所香」、京都の世に言う三十三間堂で行われた大矢数(通矢)の行事を題にした「矢数香」を主に用いている。組香の正確な数はつかめないが大部分は江戸時代のもので五百組ほど知られている。

※三組盤(図録『香り』より)