香道一口メモ・97 盆

四方盆は(しほうぼん)と読むのか、それとも(よほうぼん)と読むのか、あるいはどちらでもいいのか、少し迷う所があります。

「し」は「死」に通じて縁起があまり良くないので、四方盆は茶道・香道では(よほうぼん)と読むものだとてっきり思っていました。

でも、最近は志野流香道では(しほうぼん)と読んでいるようですし、NHKR2で放送されている松栄堂・畑正高さんの講演「日本人と香りの美」の中でも、はっきりと(しほうぼん)と云われました。

広辞苑で調べますと、「しほう●●●」といった熟語がたくさんあります。

馴染みのあるところでは、四方正面・四方棚・四方拝・四方八方あたりでしょうか。(尤も、四方棚(しほうだな)は(よほうだな)と読むことの方がおおいかも…)

四方盆を(しほうぼん)と読んで何の不思議もありません。

個人的に、気になったのは「四方拝(しほうはい)」。

「1月1日に行われる宮廷行事。天皇が当日午前5時半(昔は寅の刻)束帯を着し、神嘉殿の南庭(昔は清涼殿の東庭)に出御、皇大神宮・豊受大神宮・天神地祇・天地四方・山稜を拝し、宝祚(ほうそ)の無窮、天下太平、万民安寧を祈る儀式。明治になって三大節の一つとする。」と広辞苑にはあります。

※宝祚=天皇の位。
※三大節=旧制の三大祝日、すなわち四方拝(1月1日)・紀元節(2月11日)・天長節(天皇誕生日)の総称。のちに明治節(11月3日の明治天皇誕生日)を加えて四大節といった。

四方盆(しほうぼん)が一件落着したところで、不意に思い出したことがあります。

茶道をどう読むかという問題です。
一般的には(さどう)と読んでいると思いますが、(ちゃどう)と唱和している流派も有ります。

まぁ、いろいろ有るということですね…。

香道一口メモ・97【盆手前②】

真の手前と異なり、執筆を香元となる亭主が務めるのを正式とするが客に乞(こ)うてもよい。この記録も高点者に渡さず、その亭の記念に残す。組香に代えて名香か銘香の鑑賞も行う。火取香炉を省略し、事前にたどんを聞香炉に「埋(いけ)込み」し、灰手前を済ましておいてもよい。茶席では開炉の時期なら四方盆、風炉(ふろ)の時期なら長盆を用いる。

※四方盆