香木の割り方に…

真夏日が続く中、初秋の草花「雁金草(かりがねそう)」が咲いています。
初咲きは今月初めですから、今年は草花の開花が随分早いようです。

花の形を雁の飛ぶ姿になぞらえてこの名があるようですが、茎・葉にさわった時の匂いはあまり良いとは云えません…。

祇園祭の花「ヒオウギ」はどんどん開花していますが、早くも種をつける株が出てきています。

京都・祇園祭は明日が宵々々山。
夜の四条通りは大変な賑わいとなりそうです…。(暑い!)

以前のblog記事にあった「香の序破急」、なかなかスッキリ解決とはいきません。

例えば、「香木の割り方に方式があり、香をたくにも序破急によるべきだと論述したのは慶長時代の香人」との記述に、若干の引っ掛かり?を感じています。
時は慶長時代とありますから1600年前後、志野流では蜂谷宗悟の嫡子・宗因あたりの時代ということになるでしょうか。

『香道蘭之園』(淡交社)の一巻の部には、香の伝来に始まり香の置きようの図まで様々な事柄について箇条書きされていますが、その中に香木の割り方についての記述があります。

一、香を割るに、序破急の三段の事あり。
序の香は、長さ三分にわるべし。(約9mm)
破の香は、長さ二分にわるべし。(約6mm)
急の香は、長さ一分にわるべし。(約3mm)

として、更に序破急の香の置き方の図が描かれていますが、その置き方は「…?」で、今とは異なっているように思えます。
江戸時代には、秘事として行なわれていたことかもしれませんが、果たして継承されている事柄なのでしょうか?

また、神保博行『香道の歴史事典』の中には、伝書『香道軌範』の概略を解説した章があり、「風盆と序破急」の見出しで序破急についての記述があります。
しかし、伝書の内容が何を意味しているのかはっきりしない部分もあり、今後の研究課題とも記してあります。

世阿弥の『風姿花伝』に著されている「序破急」の理念は、他の伝統芸能にも広く取り入れられているようですが、香の序破急が意味する所となると、これは難解なようです。

「秘すれば花」「秘してこそ花」に通ずる事柄なのでしょうか…。

香道一口メモ・168【香の序破急③】

香を急とたかれると相手は名香をたくのがきまりだ。一座が静かに長く聞こうとする場合は序・序・序、長時間にわたり滅入った時は破・急・急とたいて一休み。亭主が序・破・急のいずれかを取り上げ、急とたくと座興はここで終了するなどとある。この形式には今日のたき合わせとは異なった自由性があり、即興的な聞香の世界を描写できる。

※今日のたき合わせ【炷合せ】は、連歌の要領で香木を炷き継ぎ、香りの連続推移と香銘を鑑賞する式となっているようです。
それにつけても、香の道は果てしなく奥が深い…。