冷泉邸特別公開
秋の冷泉邸特別公開に昨日行ってきました。
上の間の掛物は「重陽の節供」を詠ったもので、旧暦九月九日(今年は10月17日)を前にして、旧暦を大切にされている冷泉家ならではと恐れ入りました。
今回の展示は「貝合わせ」と「かるた」。
貝桶に入れる貝合わせは一年と同じ360個(組)というお話でしたが、展示されている貝合わせ用の蛤はとても大きく、年数を経た蛤であることが一目瞭然でした。
お話によれば、二枚貝である蛤の縞模様は両面(左右)同じような模様だそうです。
貝合わせでは、片方の貝を渦巻状に中心を空けて伏せて並べ置き、もう片方の貝を一枚伏せて中心に置いて、良く模様を見てから「これ!」と思う貝を選んで合わせてみるのだとか…。
その合わせ方は、袖の所でそっと二枚を合わせてみて、ピッタリ合えば(カチッと閉じれば)左右に開いて、内側の絵を見る(見せる)のだそうです…。
なんとも雅な作法です。
※花貝合わせ(図録『冷泉家の至宝展』より)
「かるた」も百人一首をはじめとして数種類が展示されていました。
漢字の[偏と旁]のかるたもあってビックリしましたが、香書『香道蘭之園』の中に「扁突香(へんつきこう)」があるのを思い出し、「かるた」にあっても不思議ではないと思い直しました。
ぐるりと見学してから、いつものように塩芳軒の美味しいお菓子と薄茶をいただき、冷泉貴実子氏の楽しいお話を聞いて、冷泉邸を後にしました。
冷泉家の安寧を心から祈った次第です。
もう一ヶ所訪れたのは「泉屋(せんおく)博古館」。(泉屋は住友の屋号とか…)
青銅器をたくさん所蔵していることでその名を知られている住友コレクションの美術館です。
※鐘(写真撮影はOKです!)
青銅器と云えば、銅鐸や剣、そして鼎(かなえ)という程度の認識しかなかったのですが、青銅器にもいろいろ種類があることを展示物を通して知り、とても勉強になりました。
24種類の青銅器の図と解りやすい解説文を付けたパンフレット「青銅器の種類」も置いてありました。(貴重です!)
個人的には、紀元前の青銅器を、しかも膨大な量をどのように住友家が入手したのだろうか、という疑問を以前から抱いていたのですが、ボランティアガイドさんの説明の中で、これらは全て正規の美術品ルートで入手したもので、決して戦利品とか略奪品ではないとの説明があり、何故か少しホッとしたのを覚えています。
*******♪
※「扁突香」-志野流の組香にはないようです-
・香三種…日、一、木の各三包(内一包試)
・聞き方…日、一、木の試みを聞いた後、出香六包を打ち交ぜ、二包づつ三組に分けて炷き出します。
・二炷で九種類の文字ができる可能性があり、次の名目で答えます。
[昌(ショウ)、二(ジ)、林(リン)、旦(タン)、■(コン)、杲(コウ)、杳(ヨウ)、末(マツ)、本(ホン)]
なお、上の■(コン)は一の下に日を置いた字で、昏(コン)の異体字ですが辞書にないので表示できません。