端午の節供

5月5日は端午の節供。
元々は旧暦五月五日の節供であったものが、明治五年の改暦に伴なって現行グレゴリオ暦(新暦)の日付5月5日にそのままスライドしたものです。
中国伝来の節供で、「端」は初めの意、「午」は「五」と同音で、端午は月初めの五日、更に同じ五の陽数(奇数)を重ねて五月五日の端午の節供となっています。

男子の節供とされ、邪気をはらうために菖蒲(しょうぶ)や蓬(よもぎ)を軒にさし、男児のいる家では鯉幟を立て、甲冑・刀・武者人形、そして薬玉(くすだま)を飾り、柏餅や粽(ちまき)を食べ、更に菖蒲湯に入って邪気や疫病を払い、男児の成長を祝う行事となっています。

菖蒲(しょうぶ)と聞くと、花屋さんの花菖蒲(はなしょうぶ)を想像してしまいますが、両者は全く別物で菖蒲はサトイモ科、花菖蒲はアヤメ科です。
花はと云えば、菖蒲(しょうぶ)はまるでガマの穂のような地味で目立たない花であるのに対し、花菖蒲は花屋さんで見る通りのカラフルで艶やかな花となっています。
菖蒲(しょうぶ)や蓬(よもぎ)は香草・薬草の類ですから、確かに邪気や疫病を払ってくれそうです…。(^O^)

鯉幟は鯉の滝登りから立身出世の象徴としたもの。
禅語に「三級浪高魚化龍」(さんきゅうなみたかくして うおりゅうとけす)があります。
[龍門の三段の滝を昇って、鯉は龍と化す]わけで、勇ましいイメージが端午の節供にはピッタリ合いそうですが、禅の世界では悟りを開くことを意味するそうです。

柏餅は、古代にカシワの葉が食器として使用された名残りというのが通説となっているようです。

今年は、柏餅(よもぎ粒あん入り)と虎屋の粽を食べ、菖蒲湯にも入ったのでした。
邪気払い三本締めってこと?

そうそう、薬玉(くすだま)のことを忘れていました。
数年前、名古屋美術倶楽部の茶会で渡辺清の薬玉の画の掛物を見ました。
いろいろな花で飾り付け、五色の紐が垂れさがっている画だったように記憶しています。

有職造花師・大木素十氏のホームページを見ると、薬玉にも「真」「行」「草」の三種類あることが解ります。
薬玉は、麝香(じゃこう)、沈香(じんこう)、丁子(ちょうじ)などの香料を玉にして袋に入れ、円形にして造花などで飾り、菖蒲や蓬などを添え、五色の糸を長く垂らしたものとなっています。
茶会で掛けられていた清の画は確かにこんな感じでした。(^O^)

有職造花師・大木素十氏のHPはこちらです。→ http://oki-suju.com/kusudama/

目から鱗が……です!

香道の心得 ◆皐月◆ (3)

 さて、騎手の人形を馬から下ろして馬場元に並べ、初香を聞き当てることによって乗馬させる。当、不当は、連衆が一炷聞き終ると直に答を発表する〝一炷聞き〟による。これより、赤方、黒方のそれぞれ聞き当てた総数にあわせて馬馳溝(うまはせこう)の目盛を一間ずつ、ただし、独り聞き(一人のみ正解)の場合は、香の種類によって二間とか三間進ませる。また途中で四間の差がつくと人形を下馬させ、馬を引いて歩かせる。その後、一炷でも当たれば再び乗馬させる。勝負は盤に立てた青楓を先に越えた方を勝とするが、通常は十炷の香を聞き終えた時点で決めている。なお、盤の先端に至っても聞香が終了しない場合、通りすぎた盤を先へつないで続行させる。ほかに持(もち)(引き分け)のこと、盤者のこと、記録のことなどがあるが、以上が競馬香のあらましである。