柊花

今日は、旧暦では十一月一日、新月の日です。
イメージ的には、日の出と共に月も出て、日の入と共に月も沈むといった感じでしょうか。

冬の花、柊(ひいらぎ)の花が咲いています。
葉はトゲトゲ、触るとチクチク痛み、何んともなりませんが、花は可憐でとても良い香りがします。
近づくと銀木犀に似た清冽な香りに包まれます。
柊花(ひいらぎのはな)は、香道で用いられる冬の札銘にもなっています。(^O^)

花ではありませんが、千両の実が赤く色づき、正月飾りの出番を待っています。

そう云えば、名古屋・両口屋是清の今月のお菓子「銀杏散る」は、職人さんの意気込みが伝わってくる、素敵な意匠の美味しいお菓子でした。

詩歌をちこち 【歌争香】

|①謡曲『草紙洗小町』にある小野小町が詠んだとされる歌
蒔かなくに何を種とて浮草の 波のうねうね生い茂るらん
〔大意〕浮草は誰も蒔きはしないのに、何を種として、このやうに波の畝に生い茂るのであらう。

|②『古今和歌集』巻第十七 雑歌上 899
|      よみ人しらず
鏡山いざ立ちよりて見てゆかむ 年へぬる身はおいやしぬると
|  この歌は、ある人のいはく、おほとものくろぬしなり
〔大意〕「鏡」という名のあの「鏡山」にさあ立ち寄って見て行こう。年月を経てきたわが身は確かに年老いているものなのかと。

*和歌出典『謡曲大観』第二巻(明治書院)①/『新編国歌大観』(角川書店)②
*大意出典『謡曲大観』第二巻(明治書院)①/『新日本古典文学大系』(岩波書店)②
※小野小町(おののこまち)
※大伴黒主(おおとものくろぬし)

❖謡曲【草紙洗小町】
宮中の歌合わせで小野小町の相手に決まった大伴黒主は、小町の邸に忍びこんで和歌を盗み聞きし、草紙に書き入れ、当日、帝の前で披露された小町の歌を古歌だといって証拠の草紙を示す。小町がその墨色に不審をいだき草紙を洗うと、その歌の文字が消える。黒主は面目を失い自殺をはかるが、小町のとりなしで席に戻る。(出典『日本国語大辞典』)