一点蘂三千刹界香

15日、久しぶりに熱田神宮月次茶会に出かけました。
今月の担当は、濃茶席が裏千家・神谷宗ちょう(偏が舎、旁が長)氏、薄茶席が茶道具商・宇治屋の野﨑康生氏。
このお二人なら混雑するに違いないと思い、いつもよりかなり遅めの午後二時前に到着したのですが、濃茶席の待ち人の多さにびっくり、濃茶は早々に諦め、薄茶席の又兵衛へ向かったのでした。

寄付きに掛けてあったのは、鳥海青児の細長掛物の「鬼やらひ」画。
飾られていた香合は形物の「桃」。
桃太郎の鬼退治の趣向で、従者などは本席の十二支釜の「申・酉・戌」へと続いていました。

本席の掛物は梅の画賛で一行文字は大徳寺181世・江雪宗立筆「一点蘂三千刹界香」(いってんのずい さんぜんさつかいかんばし)。
画の梅花を文字に読み込み、刹を世に替えると「一点梅花蘂 三千世界香」となり、共に禅語となっています。
直訳すれば、梅の花が一輪咲けば全宇宙が香(かんば)しい、と『茶席の禅語大辞典』(淡交社)にはあります。

お菓子はきよめ餅製の羽二重「豆大福」でとても美味でした。
席主さんによれば、寄付は「鬼は外」で、本席は「福は内」とか…。(^O^)

席主さんによる鬼退治のウンチクと楽しいお話、そして節分に因んだ道具組をしっかり楽しませていただきました。(^O^)

ところで、古染付の形物桃香合。
形物香合の多くは江戸時代初期(17世紀)に中国・景徳鎮などで作られていますが、染付桃香合(小)は形物香合番付上では西三段目十位に位置しています。(大の桃香合は西四段目十九位)

※図録『形物香合』(愛知県陶磁資料館)より

形物香合といえば、2013年に愛知県陶磁資料館で開かれた「茶人のあそび心 形物香合番付の世界」展を思い出します。
番付上の形物香合約150点を一堂に集めた、見どころの多い力の入った展覧会でした…。(^O^)

※云うまでもないことですが、相撲番付をはじめとして江戸時代に流行した各種番付表に「横綱」はありません。
相撲番付に「横綱」の称号が載ったのは明治23年(1890年)のことで、西ノ海が初めてだったそうです。
それまで、番付上は大関が最高位で、四手(しで)を垂れた白麻の太い綱・横綱を化粧まわしの上に締めることを許された大関力士を「横綱」と称していたそうです。(^O^)