茶の十徳・香の十徳
大丸松坂屋会報誌に京都・宇治「堀井七茗園」の記事がありました。
NHK「ブラタモリ」でも紹介された宇治七茗園の一つ「奥ノ山茶園」を守り伝えている老舗です。
写真の中に「茶十徳」の額がありました。
「香の十徳」は香席で見たり聞いたりしたことがありますが、「茶の十徳」は全く意識したことがありません。
早速、『原色茶道大辞典』(淡交社)を開いてみました。
「茶の十徳」は茶の効用を説いた十ヶ条のことで、栂尾高山寺の明恵(みょうえ)が、芦屋釜に十徳を鋳込んだという言い伝えがあるそうです。(異説あり)
諸仏加護
五臓調和
孝養父母
煩悩消除
寿命長遠
睡眠自除
息災延命
天神随身
諸天加護
臨終不乱
元々、茶は薬種薬用として伝来したようですから、十ヶ条には頷ける項目が多いように感じます。
カフェインやビタミンCの効能も確かにあり、最近は免疫力を高める効果があるとして愛飲されているようです。
私的には、最後の項目「臨終不乱」に目が釘付けとなりましたが…。!(^^)!
一方、「香の十徳」は一休和尚の提唱と伝えられ『松屋会記』にあるそうです。(異説あり)
感格鬼神
清浄心身
能除汚穢
能覚睡眠
静中成友
塵裡偸閑
多而不厭
寡而為足
久蔵不朽
常用無障
香の効能にも頷けるところ多です。
聞香を高尚なものにしようとする意図があるのかどうか解りませんが、中国から伝来した言葉だけに?難しい漢字が多いように感じます。
読みと現代語訳が欲しいところです。(ネット上には解説が溢れています…)(^O^)
❖
会報に載っていた写真の中に、抹茶を挽く石臼がありました。
キャプションに「石臼1台で挽ける量は1時間にわずか40g」とあったのには驚きました。
道理で、抹茶の製造工場には「えっ?こんなにたくさん?」とびっくりするほどの石臼があるわけです。
雅な遊びとして「茶香服」(ちゃかぶき)のメモも載っていました。
①玉露2種、煎茶3種を飲み分けます。それぞれの茶に「花・鳥・風・月・客」の印をつけます。
②最初に5種の茶葉を披露し、色と香りを確かめてもらいます。
③5種の茶は、熱湯で1分30秒蒸らし、すべて同じ方法で淹れます。一回飲むごとに、答えの札を札箱に入れます。5種を飲み終えたら札箱を開けて採点します。札箱がない場合は、答えを記入する方法で行います。これを5回繰り返し、合計点で順位が決まります。
面白そうです。
俄然、興味が湧いてきました。
宇治茶道場「匠の館」で体験可能のようですが、体験は[要相談]と記してありました。
茶の湯では「七事式」の一つに「茶カブキ」があります。
発祥は室町時代に行われた、豪華な品を賭けて数服のお茶を飲み比べて当てる闘茶(とうちゃ)とか…。
今日では、三種の抹茶を用意し、二種を試茶として最初に点て、次に本茶として三種を点て、三種が何かを飲み当てるという式になっています。
お茶を真剣に味わうことの修練が目的でしょうか…。
掛板・看板に記される三種の名は、表千家では[上林・竹田・客]、裏千家では[竹田・上林・客]の順です。!(^^)!
宇治の上林は絶えることなく継承されていますが、竹田はどうなったのでしょうか?
個人的には、長年疑問となっているところです…。