夏至の習わし

今日は、二十四節気の「夏至」(黄経90度)。
一年の内で昼が最も長いとされる日です。

今日の名古屋の日の出は4:38、日の入は19:10ですから、昼の時間は14時間32分となり確かに長いです。
尤も、「日の出」「日の入」は太陽の上端が地平線に出入する時刻となっていて、この世の明暗が急転するわけではないので、実感する昼の長さはもう少し長いかもしれません。(実感すると云っても、早朝4時半に起きていないので分かりませんが…。)

昨日のNHKR1「マイあさ!」の中の「暮らしの歳時記~夏至の習わし~」で、和文化研究者・三浦康子氏から面白い三択クイズが出されていました。

【第1問】古来、夏至にあることを行なってきました。次の三つのうちのどれ?
①海開き
②田植え
③酒造り

【第2問】関西では夏至にある物を食べる習わしがあります。
①鯛
②そら豆
③蛸(たこ)

【第3問】平安時代の貴族は夏至の夜にあることをしていました。
①お月見
②蛍狩り
③肝試し

消去法で考えると正解は得られそうですが、第1問にはちょぴり不安が残りました…。

【正解】(要約)
第1問:②田植え…太陽の力が最も強くなる日として、稲が太陽の恵みを受けて生育するようにと願って。
第2問:③蛸………田植えに関係していて、稲の根がタコの足のように広く強く張ることを願って。
第3問:②蛍狩り…夜が最も短くなるので「短夜」の儚さを蛍のはかなさに重ねて。

夏至の日には「夏至祭」が世界各地で行なわれているようです。
「Wikipedia」には、日本の夏至祭について次のような書き込みがあります。

「日本では夏至祭が少ないが、三重県伊勢市の二見浦にある「夫婦岩」付近で、二見興玉神社の夏至祭が行われる。天照大神を祭った伊勢神宮への参拝者が身を清めた場所で、日の出に夫婦岩に向かって海に入り身を清めようという行事である。」

実際に行事を見たことはありませんが、云われてみればTVで見たことがあるような…。(^^)
「夫婦岩」は超有名です。

番組の中で「二見浦」と聞いて、思わず組香「二見香」の証歌を思い出しました。

『古今和歌集』巻第九 羈旅歌 417
たじまのくにのゆへまかりける時に、ふたみのうらという所にとまりてゆふさりのかれいひたうべけるに、ともにありける人人のうたよみけるついでによめる  ふじはらのかねすけ

ゆふづくよおぼつかなきを玉匣 ふたみの浦は曙てこそみめ  *匣(くしげ)

〔大意〕夕方の月の出るころの夜は様子がはっきりしないから、くし箱の「蓋」と「身」の内側は箱を開けて見るように、「二見の浦」は夜が明けてから見よう。

*和歌出典『新編国歌大観』(角川書店)
*大意出典『新日本古典文学大系』(岩波書店)

証歌の「ふたみの浦」の所在については、2021年1月11日のblogの中で触れました。
但馬の国の湯と云えば矢張り城崎温泉です。

『日本国語大辞典』には「二見浦」として、「ふたみの浦」と「ふたみが浦」が併記してあります。
個人的には、前者は兵庫県豊岡市城崎町の円山川下流の景勝地、後者は三重県伊勢市二見町の名勝地と理解しています。(^^)

公園のネム【合歓】の花が咲いていました。