浜土産・浜たから・磯ちどり

立秋は既に過ぎていますが、長雨の反動でしょうか、真夏日がしばらく続きそうな勢いとなっています。
今日の名古屋の最高気温は32.2℃、明日以降も真夏?の暑い日が続きそうです。

暑い日には涼し気なお菓子が何よりのご馳走です。(^^)
というわけで、見た目にも、味わいにも、涼味満点のお菓子三品を挙げてみました。

①「浜土産」(はまづと)…京都・亀屋則克

 

蛤の殻に琥珀色の寒天を閉じ込め、中に浜納豆を一粒入れたお菓子で、片方の貝殻で掬って食べるのが定番です。
浜納豆の塩気と味わい深い苦みが、琥珀羹の甘味と溶け合って、すばらしい塩梅となっています。
極上の一品です。(^^)

浜納豆(浜名納豆の略)は、蒸した大豆を小麦粉でまぶし、麹菌で発酵させ、半年間塩水につけた後、天日で乾燥して、しょうが、さんしょう、けしなどの香料を加えた粒上のもので、浜松市の大福寺で作り始めたものだそうです。

一般的には、大徳寺納豆と云った方が通りが良いのかもしれません。

②「浜たから」…愛知(一宮市)・川村屋賀峯総本店

 

ご主人が京都・亀屋則克で修行されていたことから、以前は京都と同じ商品名で販売されていましたが、諸般の事情から近年になって「浜たから」と改名されたお菓子です。

「浜土産」と異なる点は、蛤に流し込んだ寒天の色が薄いこと、そして一粒の浜納豆が八丁味噌仕立てになっていて若干味噌味であったように記憶しています。

一宮のお茶会に参加した時、お店に立ち寄って購入した覚えがあります。
(※8月27日:旧blogにあった「浜たから」の写真2枚を追加。)

愛知県にも蛤殻の涼菓があることは嬉しい限りです。

③「磯ちどり」…富山(高岡市)・志乃原

 

いただき物で和楽会の主菓子に使わせていただいた蛤殻の涼菓です。(ありがとうございます!)
富山で、このようなお菓子が造られていることは今回初めて知りました。

少し小振りであること、透明で甘味のある寒天であること、そして甘く煮込んだ大納言小豆が二粒入っていることが、上の二つと異なっている点でしょうか…。
昭和の時代に造り始められたようです…。

富山と云えば、富山湾の蜃気楼が有名です。(蜃気楼の季語は春)

蜃気楼は、砂漠で遠方にオアシスがあるように見えたり、海上で船がさかさまに浮き上がって見えたりする現象です。
この名は、昔、中国で(大ハマグリ)がを吐いて閣を描くと考えられて名付けられたもの。
蜃気楼=ミラージュ(mirage)という言葉もなかなか魅力的です。

涼菓「磯ちどり」は、富山湾→蜃気楼→大蛤→磯→磯千鳥と連想が広がっての銘かもしれません…。