札銘【鴨跖】

ツユクサ【露草】が元気に咲いています。

和名は露を帯びた草の意とか。
漢名は「鴨跖草」。
音読みすれば「おうせきそう」でしょうか…。
因みに「跖」は足の裏の意ですから、鴨跖草は花が「鴨の足の裏に形が似ている草」ということ?

露草の異名は多く、ぼうしばな【帽子花】、あおばな【青花】、あいばな【藍花】、はなだぐさ【縹草】、うつしぐさ【移草】、ほたるぐさ【蛍草】、かまつか【鎌柄】、つきくさ【月草・鴨跖草・鴨頭草】と、形や色などになぞらえて多彩です。

「つきくさ」は、臼でついて染料にしたから、と辞書にはあります。
『萬葉集』七・1255 月草に衣そ染むる君がため斑の衣摺らむと思ひて

かまつか【鎌柄】の異名については、想像力が追いつきませんが、どうなのでしょうか…。

ところで、今も昔も、漢字の読みや当て字は自由自在?

香道の札銘は、漢字二文字の植物名で記されていますが、読みとなると一筋縄ではいかないものが多々あります。

例えば、秋の部。(異なる漢字・読みの伝承も…)

蕣花、胡枝、木槿、桔梗、仙翁、鼠尾、苅萱、鶏頭、木犀、芙蓉、縷紅、檀特、紫苑、茴香、黄菊、龍膽、烏頭、丹楓、佛甲、芒薄、鬼燈、鴨跖、白朮、蘭菊、秋菊、秋薊、燕麦、鶏冠、白萩、紅楓、秋葵、野菊、庭菊、野薄。

半分程度はなんとか読めそうです。

現代仮名使いでの読みです。

蕣花(あさがお)、胡枝(はぎ)、木槿(むくげ)、桔梗(ききょう)、仙翁(せんのう)、鼠尾(みそはぎ)、苅萱(かるかや)、鶏頭(けいとう)、木犀(もくせい)、芙蓉(ふよう)、縷紅(るこう)、檀特(だんどく)、紫苑(しおん)、茴香(ういきょう)、黄菊(きぎく)、龍膽(ささりんどう)、烏頭(かぶとそう)、丹楓(もみじ)、佛甲(いわれんげ)、芒薄(おばな)、鬼燈(ほおずき)、鴨跖(ぼうしばな)、白朮(びゃくじゅつ)、蘭菊(らんぎく)、秋菊(あきぎく)、秋薊(あきあざみ)、燕麦(かるかや)、鶏冠(けいとう)、白萩(しろはぎ)、紅楓(べにかえで)、秋葵(あきあおい)、野菊(のぎく)、庭菊(にわぎく)、野薄(すすき)。

露草は「鴨跖」、読みは「ぼうしばな」となっています。

なんだか、手に負えません!といった感じです。ハイ。

でも、個人的には秋一番の札銘「鴨跖」です。(^^)

公園ではセンニンソウ【仙人草】が咲き始めています。