亥の月・亥の日

今日は旧暦十月(亥の月)最初の亥の日。
この日は、亥の子餅(玄猪餅)を食し、無病息災・子孫繁栄を願うのが習いとなっているようです。
猪が多産であることにあやかっての亥の子餅のようです。
食する時刻は?と云えば、亥ならびで亥の刻というような伝もあるとか…。

『日本国語大辞典』には「宮中では、大豆、小豆、豇豆(ささげ)、胡麻、栗、柿、糖(あめ)の七種の粉を用いて作り、猪の子形に切ったものを食べた」とあります。
この日、臣下には小さな小さな餅を「玄猪(げんちょ)包」に包んで下賜したようです。

「玄猪包」の折り方、包み方については、一時期のめり込んだ覚えがあります。
サイト内で検索してみますと、2018.11.27の記事に「玄猪包の折り方」があります。(懐かしい~)

※2018.11.27の写真

玄猪包を茶の湯道具に写したのが「玄猪包香合」です。

老舗の菓子舖には、亥の日に因んで「亥の子餅」が用意されています。
勿論、餅ではなく生菓子です。
今夜は、お菓子「亥の子餅」でお茶を一服いただきました。(^^)
黒ゴマで目を作り、中は漉し餡、干し柿が入った美味しいお菓子でした。

※菓子舖「花桔梗」の「亥の子餅」

茶の湯では、旧暦十月(亥の月)最初の亥の日は「炉開き」とされています。
尤も、近年は11月になるのを目安に炉開きをする処も多いように感じています。

香道では、組香【源氏三習香】に「亥の子餅」ならぬ「子の子餅」が出てきます。
2018.06.07付けのblog記事「三が一香・源氏三習香」の中から一部抜粋します。

【源氏三習香】

◆香は四種
|揚名之介  として 二包で内一包試
|とのゐもの袋として 同断
|子のこの餅 として 同断
|客     として 一包で無試

◆聞き方
試みを聞いた後、出香四包打ち交ぜ、その中から一包を除き、残り三包を炷き出します。

『広辞苑』には「子の子(ねのこ)」について以下の説明があります。

「ねのこ餅」の意。「源氏物語」葵の巻で、光源氏と紫上の結婚の翌日に出された亥の子餅(いのこもち)を翌々日の子(ね)の日に三日の餅(みかのもちい)として転用したところから、たわむれて言ったことば。

※三日の餅・三日夜の餅=平安時代以降、婚礼三日目の夜に新郎・新婦が祝って食べる餅。

光源氏が初亥の日に差し出された亥の子餅を見て、明日の夕方に紫上にお供えするようにと言ったのを受けて、光源氏の家臣・惟光は子の子(ねのこ)の餅<亥の日の翌日は子の日なので機転を利かせて!>はいかほど用意いたしましょうかと伺ったところ、光源氏はこれの三分の一ぐらいと言った件に、「子の子餅」が出てくるようです。

今日は、なんだか過去記事の大行進になってしまいました。ハイ。(^^)