NHKEテレ「趣味どきっ!」で「茶の湯 表千家 掃径迎良友」が2月からオンエアされています。
表千家流の濃茶やお炭の点前作法に渡邊アナウンサーが挑戦するという企画は目新しく、亭主の側に立った茶の湯講座は恐らく初めてではないでしょうか。
これまでは専ら茶席に招かれた場合を想定した、お客様の作法に重点が置かれていたように思います。

番組の最後には千家十職の方が各回出演されていて、お話と共に作品が楽しめます。
第二回には、塗師の中村宗哲さん。
第三回には、樂焼・茶碗師の樂吉左衛門さん。
第四回(一昨日・2/28)には、釜師の大西清右衛門さん。

毎回、楽しく視聴しています。
第三回に出演された当十六代・樂吉左衛門氏の黒楽茶碗は初めて見ました。
襲名披露茶事で用いられたという黒楽茶碗は、見た目には土見の多いとても優しい、如何にも手になじみそうな姿のお茶碗でした。(^^)
当代の人柄が現れているように感じましたが、先代の樂直入氏によると当16代は「焼貫」は造らないのだそうです。

目を見張ったのは、薬師寺東塔解体修理に伴って基壇から出た1300年前の土が盆上の白紙に乗せて映し出されたこと。
素人目には、何の変哲もない小石交じりの土のように見えましたが…。
家元教授の「1300年間寝かされた土」という表現が印象的でした。

先代・樂直入氏のインタビュー記事を思い出しました。

薬師寺からは都合27袋をもらい受け、京都に運んでから1袋ずつより分け、結局半分の量になったとのこと。
そして、聚楽第跡から出た土ともども個性が強く作りにくい土ではあるけれども「いい土」であるとのこと。

かってTV特番の中で、樂家歴代当主は「いい土」を探して、後の代の為に残すことも務めの一つと語っていました。
15代当時の樂直入氏が12代弘入の土を使っていると話された時にはとても驚いた覚えがあります。
土は寝かされて、より「いい土」になるのでしょうか…。

番組中のやり取りから、1300年間寝かされた薬師寺東塔基壇の土は当代の作陶に使われているように感じました。(^^)

樂家は450年にわたり一子相伝で受け継がれています。
一子相伝と云えば、何かしら秘密めいた伝書があるのではないかと思ってしまいますが、そんなものはないと樂直入氏は語っています。

そして「一子相伝で伝えることは、何も教えないこと」なのだと…。