花もち

今日は雛祭の日。
三月三日の上巳(じょうし)の節供に雛人形などをかざり、桃の花や菱餅を供える習いとなっています。

今年も「花もち」をつくる事にしました。
以前、NHKEテレ「グレーテルのかまど」で放送された「松江の花もち」をベースに、約一名がアレンジして作ったものです。

用いた型は(富士山、扇、菊花、大黒)の四種。(他に、鯛、亀などがあります)

3月3日の上巳(桃の節句)は、ご多分に洩れず、元は旧暦三月三日(今年は4月3日)の行事です。
明治五年の改暦に伴って現行の新暦(グレゴリオ歴)の日付にそのままスライドされていますが、旧暦の日付で行なう処、月遅れの4月3日に行なう処など、フレキシブルに楽しまれています。

上巳(じょうし)は五節供(人日・上巳・端午・七夕・重陽)の一つで、もとは旧暦三月初めの巳(み)の日、後に三月三日に固定された節供となっています。
また、桃の節供とは云うものの、自然界では桃の花はまだ咲いておらず、矢張り旧暦ならば…といったところでしょうか。(^^)

桃の節句に因むわけではありませんが、桃の花が引かれていることから、組香「三千年(みちとせ)香」は3月に行なわれることが多いようです。

凡河内躬恒の歌が組香の証歌となっています。

|『拾遺和歌集』巻第五 賀 288
| 亭子院歌合せ みつね(凡河内躬恒)
みちとせになるてふもものことしより 花さく春にあひにけるかな
〔大意〕三千年に一度実が成るという桃が、今年から花が咲くというめでたい春に、ちょうど巡り合ったことだ。
〔出典〕和歌『新編国歌大鑑』(角川書店)/大意『新日本古典文学大系』(岩波書店)

【三千年香】

◆香は五種
一として 一包で無試
二として 二包で無試
三として 三包で無試
四として 四包で無試
五として 五包で無試

◆聞き方
全十五包を打ち交ぜ炷き出します。(すべて無試ですが香数の違いから聞き分けます。)

※記録紙には当りばかりを記し、聞きの中段に歌の句が書かれます。点数の処には一句九、二句四、一首全、三のように記されます。
一が当たれば みちとせに
二が二つとも当たれば なるてふ桃の
三が三つとも当たれば ことしより
四が四つとも当たれば 花咲く春に
五が五つとも当たれば あふぞうれしき

全当りは、私的には夢のまた夢です。(^^)

ところで、三千年の桃。
漢の武帝が、西王母(せいおうぼ)から不老長寿の桃をもらったという故事に因む、三千年に一度花を開き実を結ぶという仙桃だそうです。(私も欲しい!)
西王母は中国・崑崙山に住むという神女です。

ツバキの銘柄にある「西王母」は、「炉開き」によく用いられるように、早咲きでしかも花期が長い椿として重宝されています。(^^)