天下の名香「蘭奢待」を聞く

と云っても、私が「聞く」わけではありません。

『家庭画報』5月号の中に、「志野流香道、令和の大献香式に寄せて」として見出しのタイトルが付けられた記事が載っています。

蘭奢待が収められている畳紙と竹紙、そして蘭奢待の写真がありました。
瑞鳥が描かれた見るからに豪華な畳紙は初めて見ました。

『家庭画報』に載っている家元秘蔵の香木「蘭奢待」は、一昨年5月に放送されたNHKTV「歴史秘話ヒストリア」でも見ましたが、角度の関係からでしょうか、なんだか刻んであるように見えます。
<下の写真は「歴史秘話ヒストリア-正倉院宝物-」での家元秘蔵の蘭奢待>

家元に伝わる「蘭奢待」は、先代家元・蜂谷幽求斎宗由宗匠による「香道の心得ー師走-」の記述によると、明治11年の明治天皇行幸の際に下賜された一片とあります。(かって伝来していたそれは、宝暦四年付の添文と共に流出し、現在は徳川美術館蔵となっています。)

蘭奢待は伽羅ということになっていますが、正しくは「黄熟香」。
人の背丈ほどもある長さ156cmの大きな香木で、奈良・正倉院展でも見たことがあります。
近いところでは、2019年秋に東京国立博物館で開催された御即位記念「正倉院の世界」特別展で見ましたが、併せて展示されていた巨大な「黄熟香元禄期収納箱」は初見で、香木ともども深く印象に残っています。

蘭奢待には切り口がたくさんありますが、足利義政、織田信長、明治天皇(明治10年截香)が大きく切り取ったとされる個所には紙片が貼り付けられています。(織田信長は深く二片を切り取ったようです。)

蘭奢待と云えば、薬師寺蘭奢待の香りをかって聞いたことがありますが、想像していたよりも遥かにはっきりした香りであったように記憶しています。

『家庭画報』の記事の最後には、前回記事にした<増上寺献香式および特別展「香道の世界」展>の案内がありました。
更に「家庭画報 特別聞香会のご案内」として、日時、参加費、内容などが記してありました。
募集人数はわずか10名とのこと。(応募者多数の場合は抽選)

高額ですが、直ぐに埋まることでしょう…。(^^)