穀雨・残花香

今日は(から)二十四節気の一つ「穀雨」。
田畑を潤し、穀物や草木にとっては恵みの雨・春雨が降る頃です。
天明8年の『暦便覧』には「春雨降りて百穀を生化すれば也」とあります。

先日(16日)のお茶会で興正寺席の床を飾っていたウラシマソウ【浦島草】が、公園の山野草園で独特の花を付けて(咲かせて)いました。

テンナンショウ【天南星】の仲間は、蛇の鎌首にも似た仏炎苞に特徴があり、その色合いと模様から、個人的にはあまり気持ちの良い花ではありません。
昔々の話ですが、山登りの途中でふいと顔をあげたら、目の前にマムシグサ【蝮草】らしきものが生えていて、一瞬凍り付いたことがありました。(思い出してもゾゾッです!)

山野草園には同じ仲間のムサシアブミ【武蔵鐙】も鎌首をもたげていました。(ゾゾッ!)

草花は花を咲かせる時期をちゃんと心得ています。
実に不思議です!(当たり前?)
今年もハナイカダ【花筏】が葉の上に小さな花をつけています。見事です。

今日は旧暦の三月二十日、季節はまだ晩春にあたります。

来週末からはGWが始まり、再来週からは暦の上では夏ということになります。
名古屋では既に夏日を観測していますが、いよいよ「目には青葉…」の季節です。
桜前線はもう津軽海峡を渡ったのでしょうか…。

晩春・暮春の組香として、大外組に「残花香」・「留春香」が載っていました。
「留春香」については、2018.4.20に記しています…、今回は「残花香」です。

◆香は三種
夏山として 二包で内一包試
青葉として 三包で無試
遅桜として 一包で無試

◆聞き方
試みを終えた後、出香五包を打ち交ぜ炷き出します。

当りに応じて聞きの中段に名目が与えられます。
全の人には 一枝
無当りには 散花
遅桜のみ当りは 木間の色
青葉のみ当りは 新樹

記録の奥に歌一首を書きます。(藤原盛房 金葉95)
夏山の青葉まじりの遅さくら はつ花よりもめづらしきかな

※とてもシンプルな組香という印象です。(^^)

個人的には、大外組に収められている組香は概してシンプルというイメージを抱いています。
尤も、中には「敷嶋香」のようにとてもとても面倒な組香もありますが…。