通玄

『茶道雑誌』(河原書店)9月号に、「お茶の愉しみ」というタイトルで、コロナ禍におけるお茶の愉しみ方を探訪するインタビュー記事が載っていました。
連載一回目は、香老舗「松栄堂」社長の畑正高氏。

畑氏の講演やラジオ講座、そして著作物は聞いたり読んだりしていますが、わかりやすい語り口・文章は折り紙付きです。

記事の中にある写真で驚いたのは、京都本店隣の薫習館2Fにあるという茶席「通玄」(命名は志野流香道家元)。

部屋の大きさは四畳半、床があり付書院の設えになっています。
写真を見ると、点前畳と客畳の所に畳は無く、椅子が置いてあります。
お点前は椅子に座って行い、お客も椅子に座ってお茶をいただく立礼の形になっています。(お客は床前にある畳に座ることも可でしょう…)

椅子に座ってお点前をする人の両側には板張りとなっている部分が見えます。(洞庫も見えます!)
左側の板は建水などを置くために、右側の板は茶碗を出すときや茶器の拝見などの際に使うためと思われます。
写真では分かりませんが、中央の畳をあげると炉が切ってありそうな雰囲気です。(炉柄杓の扱いを考えると板の部分は必須)
お客側も椅子に座った時、前に板張りの部分があり、お茶碗を取り込めるようになっています。

畳と椅子が共存した和洋折衷?の、そして伝統的な造りを踏まえながらも現代の生活様式に合わせた設えとなっていて、実によく考えられていると思います。

でも、驚きました。

説明文には、「反対側の仕切りを取ると、二十名ほどの香席があり、広い空間となる」とあります。
薫習館の香席「通玄」は立礼式で、松栄堂HPに香席の動画があります。
http://www.kunjyukan.jp/facilities/tsugen.html
カメラ&モニターが備えられ、香元のお手前をしっかり鑑賞することができるようになっています。

次回、香席を訪れた際には、茶席も見学させていただきたいものだと思いました。

奥深いアイデアが詰まっている香席&茶席「通玄」です。(^^)