白露・名物

今日は(から)二十四節気の一つ「白露」。
朝夕少し涼しくなり、草木の葉に白い露が宿るようになる、と暦にはあります。
確かに、いつのまにか朝夕に涼しさが感じられ、夜には虫の音が集くようになりました。

『暦便覧』には「陰気ようやく重なりて露こごりて白色となれば也」とあります。

七十二候では「草露白(くさのつゆしろし)」。

名古屋・徳川美術館の秋季特別展は「名物-由緒正しき宝物-」。(9月17日~11月6日)
美術館所蔵の名物刀剣23振と茶の湯の名品がドドンと展示されるようです。

チラシに載っている茶道具は表の面に唐物茶壷「松花」(徳川美術館蔵)。
裏面下段には「千利休竹茶杓 泪」(徳川美術館蔵)、大井戸茶碗(大徳寺・龍光院蔵)、そして桃山時代の「山上宗二記」(今日庵文庫蔵)。

重文の唐物茶壷「松花」は、珠光・北向道陳・豊臣秀吉・徳川家康ほかが所持した大名物で、南宋~元時代のもの。
季刊『葵』によると、この茶壷には口に紙封がなされ、いつの茶葉かはわからないものの、中に茶葉が入ったままになっているそうです。面白~~い 。 (^^)

千利休茶杓「泪」は定期的に展示されているもので、これまで何回か鑑賞しています。
チラシの裏面で特に目を引いたのは、龍光院蔵の「大井戸茶碗」と今日庵文庫蔵の「山上宗二記」。
龍光院の名品が徳川美術館で見られます。 (^^)

「大井戸茶碗」は、2019年にMIHO MUSEUMで開催された春季特別展「大徳寺龍光院 国宝曜変天目と破草鞋(はそうあい)」にも出展されていました。
MUSEUMにはクルマで出かけましたが、アプローチの枝垂れ桜、I.M.ペイ設計の美しい美術館、そして滅多にお目にかかれない龍光院蔵のお宝(特に曜変天目)を堪能したことを思い出します。

今回の特別展タイトル「名物-由緒正しき宝物-」のキーワードは「由緒」。
季刊『葵』では、学芸員の方が「名物」について古書『源流茶話』の記述を引きながら解釈を施し、そして以下のようにまとめています。

「つまり、名物茶の湯道具には、そのものの魅力や世間で有名であることのみならず、豊臣秀吉などの戦国武将や千利休などの茶人といった歴史的人物によって有されていたこと-由緒-が重要でした。旧蔵者の名が冠されることの多い名物刀剣にも、同様の傾向が見受けられます。」

納得です。 (^^)

思えば、2019年の春は国宝・曜変天目茶碗の当たり年でした。
MIHO MUSEUMでの龍光院蔵「曜変天目」に始まり、奈良国立博物館で催された藤田美術館展の「曜変天目」、そして東京・静嘉堂文庫美術館の「曜変天目(稲葉天目)」と、三館を巡ったことを懐かしく?思い出します。
そうそう、秋には東博で「正倉院展」が開かれ、蘭奢待につられて?出かけた年でもあります。
日本がコロナ禍に陥る前年のことですが、なんだかずいぶん昔のことのように感じています。

思い出したついでに、龍光院蔵「曜変天目」のポストカード写真です。 (^^)