豊国神社月釜(2023)
久しぶりに名古屋・豊国神社の月釜に出かけました。
今日の席主は二席とも志野流で、桐蔭席が薄茶席、記念館席はお香席となっていました。
お香席の組香は「三景香」。
日本三景(松島・天橋立・厳島)を題材にして、舟で名所三景を巡る趣向の組香となっています。
◆香四種
松島として 二包で内一包試
橋立として 同断
厳島として 同断
舟 として 一包で無試
◆聞き方・名目など
試みを終えた後、出香四包[松島・橋立・厳島・舟]を打ち交ぜ炷き出します。
銘々の当たりに応じて、点数の代わりに名目が与えられます。
全当りには 三景
二炷当たり 夕霧
一炷当たり 朝霧
舟のみ当り 眺望
無聞のとき 雲霧
◆記録紙
| 松島 舟 厳島 橋立
名 松島 舟 厳島 橋立 三景
名 松島 厳島 舟 橋立 夕霧
名 舟 橋立 厳島 松島 朝霧
◆メモ
・試みの香で、松島→天橋立→厳島と瞬時に(しかも舟で)移動できるなんて、まるで「津軽海峡冬景色」の冒頭部分(たった数秒で上野発→青森着!)を彷彿とさせる早業?です。 (^^)
・二炷当たりの名目「夕霧」は、夕霧のために(時間切れで)三か所は巡ることができなかったという意味でしょうか。
・一炷当たりの名目「朝霧」は、「夕霧」の逆で「朝霧」ということでしょうが、海では朝霧が長く立ち込める場合もあるのでしょうか、一か所しか巡ることができなかったという意味のようです。(海では朝霧の中を出航することは危険なので舟は出さないとか…)
・舟のみ当りの名目「眺望」は、舟からの眺望は良かったものの、ベタ凪だったのか、それとも行き先を間違えたのか、三景の名所には巡り合えなかったという意味のようです。
・無聞の「雲霧」は、立ち込めた雲霧の為に見えなかったという意味でしょうが、時代劇ファンには「仁左衛門」の方がぴったりきそうです…。 (^^)
今日の組香の香銘は[松島:誰か里、橋立:藤浪、厳島:旅衣、舟:行く春」でした。(訂正:旅枕→旅衣)
※中村公園の藤棚
お茶席の床には「山芍薬」が七官手青磁・竹耳の花入れに収まっていました。
お茶席に出された先代15代・樂吉左衛門こと樂直入(じきにゅう)の赤楽茶碗を初めて手に取って眺めることができました。
手にしっくり収まる温かみのある茶碗のおかげで、ひととき幸せな気分に浸ることができました。
桐蔭席前の竹林には、タケノコがニョキニョキと伸びていました。