いずれ菖蒲(あやめ)

公園内の水生園エリアに、あやめ【菖蒲】、かきつばた【杜若・燕子花】、きしょうぶ【黄菖蒲】が咲き誇る頃合いとなっていました。(いずれもアヤメ科)

※アヤメ

※カキツバタ

※キショウブ

生育地は、アヤメが陸地、カキツバタは浅水池、キショウブは湿地で、それぞれ好みの環境があるようです。
愛知県刈谷市・小堤西池のカキツバタ群落は、国指定の天然記念物になっていますが、同市発行のパンフレットには分かりやすい生育地の図が載っていました。 (^^)

そういえば「何れ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)」という慣用句がありました。
『広辞苑』には「どちらもすぐれていて優劣のきめがたい意」とあります。

『日本国語大辞典』には、慣用句「いずれ菖蒲(あやめ)」も載っています。
(源頼政がぬえ退治で菖蒲前(あやめのまえ)という美女を賜るに当たって、同じような美女十二人の中から菖蒲前を選ぶよう命じられた時によんだ和歌「五月雨に沢辺の真薦水越て何れ菖蒲(アヤメ)と引ぞ煩ふ〔太平記二一〕」によるという)。どれもすぐれていて選択に迷うことにいう。

慣用句の意味からすると、「いずれ菖蒲(あやめ)」の方が美女の人数は断然多そうです。(笑)
いやいや、同じ意味です。

香道の組香で、源頼政が詠んだ歌が証歌となっているのは「菖蒲(あやめ)香」です。
尤も、文言が上記の和歌とは少し異なっていますが、伝承ではよくあることと思います。

五月雨に池のまこもの水まして いづれあやめと引きぞわづらふ

組香の概略は省略しますが、この時季によく行われている組香のように感じています。

刈谷市のお隣の知立市には「八つ橋 かきつばた園」があります。

らころも つつなれにし ましあれば るばるきぬる びをしぞおもふ

平安時代の歌人・在原業平が「かきつばた」の五文字を句頭に入れ折句にして詠んだ歌で、『伊勢物語』(九段)、そして『古今和歌集』(410)に載っています。
『伊勢物語』九段の中では「三河の国、八つ橋といふ所」で上の折句を詠んでいます。

香道の組香には、上記の歌を証歌とした「杜若(かきつばた)香」があります。
この組香も、この時季によく行われている組香のように思います。

「菖蒲香」と「杜若香」は、まさに「何れ菖蒲か杜若」といったところでしょうか…?

我田引水が過ぎたようです。