紅葉香
今日は、穏やかな小春日和の一日でした。
紅葉を見て、紅葉の名を冠した組香があってもいいのに…と思い、探してみました。
矢張りありました。「紅葉香」(大外組)です。
◆香は四種
時雨として 四包で内一包試
露霜として 同断
凩 として 同断
紅葉として 一包で無試
◆聞き方と名目と歌
時雨・露霜・凩(こがらし)の試しを聞いた後、
①時雨・露霜・凩の各二包ずつ計六包を打ち交ぜて聞きます。
②残りの時雨・露霜・凩の各一包計三包を打ち交ぜ、内から一包取り、これに紅葉をあわせ計二包を聞きます。
②は香の出により名目で答えます。
時雨と紅葉なら 梢の紅葉
露霜と紅葉なら 木々の錦
凩 と紅葉なら 散紅葉
また、②の香の出により、歌が書き添えられるようです。
【余談】
・紅葉と云えば矢張り秋の景色で、「紅葉香」も秋の組香となっています。初冬の今では遅すぎる!といった感はどうしても否めません。今月の上旬あたりが相応しいのかもしれんませんが、紅葉真っ盛りの景色に心を奪われてしまったようです。
・名目の中で、散紅葉だけは直感的に理解できそうな気がします。
なんだか、中途半端な書き方になってしまいましたが、季節は確実に、紅葉の「山粧う」秋から、「山眠る」冬へと、静かに移ろいでいるようです。
【追記】②の香の出による歌は以下の通りですが、出典は確認できませんでした。
・時雨に紅葉は、「時のまにあらしはさそふ日数へてしぐれもつゆも染しもみじを」
・露霜に紅葉は、「紅葉葉のうつろひけりもつゆ霜のそむるちしほぞかぎりなりける」
・凩 に紅葉は、「そめつくす枝より風やさそふらん庭ぞちしほの木の葉なりけり」
なお、紅葉が初めに出れば出香の下に、紅葉が後に出れば記の奥に書くようです。
※千入(ちしお)=何回も染め液に浸して色濃く染めること。濃く染まった色や物。
香道一口メモ・75【地敷紙】
聞香具を配置する厚紙。表は金地に彩色の蓬莱(ほうらい)、裏は銀地に塩竃(かま)、炭竃の煙競べの絵が描いてあり、八つ折りに畳める。現代ではあまり用いないが、この地敷の前に、たき始めの香が四散しないようにとの配慮と、装飾的な面とから、美麗な絵模様のある香幕や香屏風、板屏風と称するものを置いた時代があった。