二百十日

今日9月1日は雑節の二百十日。
立春から数えて210日目に当たる日で、嵐に警戒する日となっています。
折しも、非常に強い台風21号が日本列島に近付いていて、これからの進路が気になるところです。
今年は、異常気象が原因なのでしょうか、日本各地が災害に見舞われ、さながら災害列島の様相を呈している感があります。
思い起こせば、1923年(大正12年)の関東大震災は9月1日でした…。

月刊誌『なごみ』(淡交社)に志野流香道・蜂谷宗苾若宗匠の「香道絵巻」と題するコラムが連載されています。
今年1月号の「思い出は香りとともに」から始まって、毎月味わい深い(香り高いと云うべき?)随筆が続いています。

随筆と云えば、先代・蜂谷幽求斎宗由宗匠(1902~1988)もその昔、某月刊誌に1年間連載されたことがあったと聞いています。
タイトルは「香道の心得」で、夫々の月に相応しいテーマを選び、香り高い文章で綴られています。
不定期かつ断片的にUPしたいと思っていますが、今回はその1回目です。

香道の心得 ◆長月◆ (1回/5)

 秋はやはり観月である。観月には、その名に由った観月橋や指月の森、宮人が春秋に遊楽したという嵯峨野の名地があり、それに清水寺、叡山、鴨川畔なども月見の地として挙げられている。東山の慈照寺(銀閣寺)は、庭園に白砂の向月台や銀沙灘が作られ、月の光を一層賞美するための趣向を凝らしていることで名高い。
その昔、風流の道にいそしんだ将軍足利義政は、月待山にのぼる月や、月光に照らし出された庭園を眺めながら心静かに名香を聞き楽しんだことであろう。

※観月橋(かんげつきょう)=京都市伏見区の宇治川(淀川)に架かる橋。 豊臣秀吉が現在の指月山月橋院で催したと言われる月見の宴が名称の由来である。(出典:Wikipedia)
※指月の森(しげつのもり)=京都市伏見区桃山町泰長老あたりのかつての地名。桃山丘陵の南麓で観月橋(豊後橋)の北辺一帯をいい、宇治川やかつての巨椋池(おぐらのいけ)を一望できる、平安時代よりの観月の名所。(出典:Wikipedia)

※『都名所図会』(1780年刊行)6巻[5]

・中央の橋が江戸時代の豊後橋。明治になって架け替えられて観月橋に名称変更。左下に指月月橋院の名が読めます。

「長月」は元々は陰暦九月の異称ですが、明治五年の改暦以降も新暦9月の異称としてそのまま用いています。
旧暦九月の異称はたくさんあるようですが、馴染みがあるところでは矢張り「菊月」あたりでしょうか。

少し先の9月9日は「重陽の節供」(菊の節供とも!)としてお祝い?をしていますが、これも元々は旧暦九月九日の行事です。
新暦9月9日では、流石に野に菊の花は望めませんが、旧暦九月九日(今年は10月17日)なら十分咲いていると思います…。(^O^)

なお、中秋の名月、即ち陰暦八月十五夜の月は今年は9月24日となっています。