立冬ぽかぽか

今日は二十四節気の立冬。
文字通り冬が立つ日なのですが、今日の名古屋の最高気温はなんと23.1℃で余裕の夏日、ポカポカ陽気の暖かさでした。

立冬を迎え、表千家家元の稽古場では明日八日から炉になるとか…。
炉開きは、柚子が色づく頃、また立冬がひとつの目安になっているようです。

植物はと云えば、槿などの広葉樹の葉が散り始め、紅葉の葉がやっと色づき始めました。
草木は季節の変化をいち早く感じとり、ちゃんと身の処し方を心得ているかのようです。

千両の実が赤く色づいています。

香道の心得 ◆霜月◆ (3)

 この季の代表的な組香の今一つに、志野宗信の作と伝えられる「落葉香」が挙げられる。これは「うつりゆく雲に嵐の声すなり散るか正木のかつらぎの山」(新古今、藤原雅経)に拠っている。浮動する雲と吹く嵐との多少を香によって聞き分け、更に葛城山の香を求めるという軽妙な二段形式になっている。

【落葉香】

◆香は三種
雲として 六包で無試
嵐として 五包で無試
客として 一包で無試

◆聞き方
①先ず、雲三包、嵐二包の計五包を打ち交ぜて炷き出します。
②次に、雲三包、嵐三包の計六包より一包抜いた五包に、客一包を加えた計六包を炷き出します。

◆記録
②の後出香で、
雲三包出れば、本香の下に歌一首を書きます。
嵐三包出れば、記の奥に歌一首を書きます。

うつり行く雲に嵐の聲すなり散るかまさきのかつらぎの山  藤原雅経

客当りの人には聞の下(中段)に、かつらぎ(葛城)山と書きます。
全当りの人には点数の処に、落葉と書きます。

◆メモ
| 新古今和歌集 巻第六 冬歌 561
| 藤原雅經(まさつね)
うつり行く雲に嵐の聲すなり散るかまさきのかづらきの山

鑑賞日本古典文学第17巻(角川書店)に載っている歌意です。
「大空を飛び動いてゆく雲の中に、嵐の音が聞こえるようだ。この嵐で美しく紅葉していたまさきのかずらは散るのであろうか、あの葛城山では。」

※[正木・柾]=まさきのかずら(柾葛)…「ていかかずら(定家葛)」または「つるまさき(蔓柾)」の異名。
※懸詞は「まさきのかずら」と「かづらきのやま(葛城山)」

◆余談
客香が当れば聞きの中段に「かつらぎ(葛城)山」、全当りには「落葉」と書かれることから、移りゆく雲と嵐の様相から大和葛城山の落葉の情景へと想いが広がっていけば、きっと「香」も答えてくれるに違いないというのなら、嬉しい限りなのですが…。

※定家葛…キョウチクトウ科の常緑木質の蔓植物で、山地、丘陵の明るい林内に生える。つるは地上をはい大きな群落を作る。また、他物に巻きついてよじのぼる。