立夏

10連休の最終日、今日5月6日は二十四節気の「立夏」。
暦の上でも、いよいよ夏ということになります!
野山に新緑が溢れる、この初夏の頃が一年中で一番過ごしやすい時季かもしれません。

エビネが長い間咲いています。

立夏の今日、炉畳を風炉の季節に合わせて丸畳に入れ替えました。
約一名は炉の灰を掬いあげ、篩にかけて、真夏の灰作りに備えていました。
節目、節目の大切な作業となっています。

香道の心得 ◆皐月◆ (4)終

 そのほか京都の伝統的な行事を盤物にしたものに矢数香(やかずこう)がある。これは東山の蓮華王院、世に言う三十三間堂で行われた大矢数(通矢)の競技を写したものである。
射手は本堂背後の南端から北の端に白木綿で一丈四方の円を画いた的に向って、日ぐれから翌日の夕刻まで通矢を引いて矢数を競う。江戸時代に盛んに行われた。この催しには堂の北端の椽上に櫓を立て、役人が立ち合い、通矢が四百本になると金銀の麾を振り、五百本に達すると白絹の幟に通矢五百本と記して立て、千本になると赤い幟を立てた。このことから矢数香では盤上に立てた矢(長さ約十五㌢)の進んだ距離により、矢の先に銀、金の房を掛け褒賞の証としている。
かように競馬香は実際の行事の有様をいかにも巧みに捉え、矢数香はよく要点を写し、その盤ものは共に精巧で、貴重な工芸品と言うべきである。だからであろう盤が端午の節句になると武者人形などと共に飾り付けられることがある。それを見るにつけ小道具の愛らしさに、また思い出した盤者の所作に限りない喜びを覚える次第である。
こうした伝統ものを維持することは今日を創る一つの要素であろう、競馬香もいつまでも大切にしたい。