大掃除

開炉多落葉。

年末大掃除。

詩歌をちこち 【替五色香】

|『拾遺愚草員外(定家)』
| 十五首歌 389~393
|青
かは竹の葉ごしの色にまがふかな 玉のすだれにかくるあふひは
〔大意〕賀茂祭の頃玉簾に懸ける葵は、河竹の葉越しの青い色にまぎれる。

|黄
枝かはす岸の款冬はなちりて こがねの露に浪ぞこえける
〔大意〕枝をさし交わす岸辺の山吹は花が散って、黄金の露をこぼし、そこに波が越えている。

|赤
時雨れつる雲も日影にそめられて 紅葉をちらす峰の木枯
〔大意〕時雨を降らせていた雲も夕日に染められて、峯の木枯が紅葉を散らしている。

|白
白雲のやへたつ峰の山さくら 空にもつづく滝つかは風
〔大意〕白雲が八重にも立つ峯に咲く山桜は、滝となって流れる川波が空にも続いているようだ。

|黒
烏羽玉のやみのうつつにかきやれど なれてかひなき床のくろかみ
〔大意〕闇の中で現実に女の黒髪を掻きやるけれども、馴れ親しんでも闇の中だからその甲斐がない。

*和歌出典『新編国歌大観』(角川書店)
*大意出典『藤原定家全歌集 下巻』(河出書房新社)
※藤原定家(ふじわらのさだいえ・ていか)