梔子の白い花
くちなし【梔子】の花が咲いています。
ヒット歌謡曲「くちなしの花」にも唄われた芳香のある白い六弁花です。
「くちなし」という名は、果実が熟しても口を開かないところから、とか…。
因みに、秋の実はこんな具合で、古くから黄色の染料として用いられ、栗きんとん・くちなし飯などの着色でお馴染みです。 (^^)
※秋になるとこんな実に…。
香道の組香の中にも「梔子」が出てきます。
外組に収めてある【十友香】です。
「宋の曾端伯、十花を以って十友となす。所謂、桂僊友、菊佳友、梅清友、荷浄友、海棠名友、荼蘼韻友、茉莉雅友、瑞香殊友、芍薬艶友、梔子禅友といえる詞をとりて組香となす」とあります。
宋の曾端伯が草木の花十種を選び、友になぞらえたもので、名花十友として画題にされています。
桂 を僊友
菊 を佳友
梅 を清友
荷 を浄友
海棠を名友
荼蘼を韻友
茉莉を雅友
瑞香を殊友
芍薬を艶友
梔子を禅友
※か【荷】=はす【蓮】、かいどう【海棠】、どび【荼蘼】=トキンイバラ、まつり【茉莉】、ずいこう【瑞香】=沈丁花
くちなし【梔子】が「禅友」とはちょっと意外ですが、くちなし【口無】とつながっているからでしょうか。
『古今和歌集』巻第十九雑體1012に、素性法師のちょっとした戯れの歌があります。
山吹の花色衣ぬしやたれ とへどこたへずくちなしにして
秋になったら実を採りに行こうかな~。(^^)
【追記】(6月22日)/出典『新日本古典文学大系』(岩波書店)
『古今和歌集』巻第19 雑体1012 素性法師
山吹の花色衣ぬしやたれ 問へど答へずくちなしにして
〔大意〕山吹の花のような黄色の衣は、持主は誰だねと尋ねるけれど答えない、口がないという名の「くちなし」色であって。