秋の大茶会

秋晴れの穏やかな一日、中日文化センター主催「秋の大茶会」が名古屋八事の八勝館を会場にして行われました。

毎年、11月3日に行われる催しで、濃茶席、薄茶席、野点席、煎茶席、聞香席の中から三席を選んで廻り、これに点心席が付くと云うものです。
四人で廻りましたが、お席は聞香席→点心席→薄茶席→煎茶席の順となりました。

聞香席(志野流)の組香は「大和三山香」。
これは、平成22年の全国大会・薬師寺大会で新作の組香として披露されたものです。
なお、このときの記念品は大和三山をあしらった聞香炉一対でした。

◆香は三種
香具山として 二包で内一包試
耳成山として 同断
畝傍山として 一包で無試

◆聞き方・答え方
香具山、耳成山の試みを聞いた後、
香具山、耳成山、畝傍山の計三包を打ち交ぜ、内より二包取り炷き出します。

◆証歌
香具山は畝傍を愛(を)しと耳成と相争ひき神代よりかくにあるらし
※畝傍山を(女)に見立てた三角関係と捉えると分かりやすいのでしょうか…。

◆名目
二種の香の出方と当たりによって、次の名目が添えられます。
香具山・耳成山が出て二炷とも当たれば 「相争ひ」
香具山・畝傍山が出て二炷とも当たれば 「白たへ」
耳成山・畝傍山が出て二炷とも当たれば 「くちなし」
※各名目には深い訳があり、推敲に推敲が重ねられたものではないかと思われます。

聞香席の後、早々と昼食を済ませ、裏千家の薄茶席へ。
与次郎のやつれ風炉、芒に月の大扇(今日は旧暦・後の十五夜です)、野ぼたん、半枯の灰吹などなど見所がたくさんありました。

最後に入ったのが売茶流煎茶席。
托子と茗碗の造形が余りにも素晴らしく、記念の写真を撮った方から転送していただきました。
托子は千家十職・中川浄益、茗碗は有田・豊増一雄によるものだそうです。

とろりとした美味しい煎茶でした。

香道一口メモ・48【六国の判定】

六国の中に同じ沈水香を産出することがあって、品質決定に困難をきたすことがある。で、香道界では伽羅(きゃら)ならば「その様やさしく位ありて苦を司るを上品とする。自然とたおやかにして優美なり」との表現文などを案出した。これを一つの目安にきゅう覚による分類法を加味するが、いずれにせよ判定には聞香の相当の修練が要求される。