萬歳香

昨日は二十四節気の一つ「小寒」、いわゆる寒の入りでした。
正月気分も抜けて、すっかり日常に戻っています。

「松の内」も明日7日までとなり、そろそろと茶道の教室では「初釜」、香道の教場では「聞香初め」が催される頃かと思います。

志野流香道では、聞香初めにはおめでたい組香、即ち「松竹梅香」や「萬歳香」、あるいは「慶賀香」などが組まれることが多いように思います。

その一つ「萬歳香」は、良く知られている次の歌に拠って組まれています。

君が世は千代に八千代にさざれ石のいはほとなりて苔のむすまで

一を千代、二を八千代、三を細石、客を巌とする四種の香を用い、一、二、三を各三炷、それに客一炷を加えた計十炷を聞き当てるもので、全当りの人には「萬歳」が点数の処に書かれます。

いかにも正月らしい組香ですね。(^O^)

さて、この歌はもともと『古今和歌集』巻七・賀歌の巻頭歌となっています。

わがきみは千世にやちよにさざれいしのいはほとなりてこけのむすまで (読人しらず)

古今集の初句「わがきみ」が、いつの頃からか「きみがよ」に置きかえられて詠われていることになりますが、辞書に拠りますと江戸時代初期のはやり唄「隆達節」などに既に歌詞として見る事ができるそうです。

長い歴史を経ていることがわかりますが、明治以降の経緯については辞書・書物に詳しいところです。

※『茶席の禅語大辞典』より

香道一口メモ・103【内十組の会②】

参加者は事前に定めた組香の香包紙を折紙し、香木を刻んで詰める。タンザクには香銘を記入する。用意ができると香包をそれぞれの組香の特徴を絵様にした極彩色の畳紙に納め、長盆に置き床に飾る。終了後、最高点者には著名者によって書きあらためられた記録紙、次点者には香包紙、三位には参加者による記録紙、四位はたき空が記念に渡される。

※「小草香」は草の名によって香数に違いは生じますが、試香を含めておよそ100炷を一日で聞くことになります。さぞかし鼻の奥の嗅覚センサーは疲れることでしょうが、やり終えたと云う達成感・充実感は何物にも代え難く、その後の「道」の大きな糧・財産になることは想像に難くありません。

※現行は、時代に合わせてでしょうか、一部変更されているようです。