冷泉家時雨亭叢書

京都冷泉家の古文書の写真撮影を担当された方が昨日の朝日新聞「ひと」欄に載っていました。

全100巻の「冷泉家時雨亭叢書」が完結するまでに25年の歳月を要したと有ります。
この「叢書」自体、後世への貴重な「文化遺産」と云えそうです…。

香道一口メモ・110【炷合(たきあわ)せ香】

連歌式に香木をたき継ぐ「炷合せ」とは別式のもの。一種の組香。通常は一香炉に対して香木は一片だが、この場合は銀葉に向かい合わせに二片乗せ、一双聞き定めるのを趣旨とする。この香組みには正解に古今集・賀歌のしほの山云々の歌を書く「千鳥香」、五種を二片ずつ計五双を聞く「連理香」があるが、いずれもかなり難解である。

※「炷合せ」については、昨年11月12日の香道一口メモにあります。(追記:11月12日に訂正です)

※一枚の銀葉に向い合わせに香木を二片のせ、一双聞き定めるのを旨とするとありますが、夫々の具体的な所作等は伝授に関わることのようです。

※「千鳥香」は、途中で聞き方が変わる組香のようです。

一として 三包で内一包試
二として 同断
ウとして 一包で無試
客として 同断

しほの山さしでのいそにすむ千鳥 きみがみよをばやちよとぞなく  よみ人しらず(古今和歌集 巻第七 賀歌)

※「連理香」は、香道の秘奥の伝で皆伝の証とされているようです。

なお、白居易の「長恨歌」の終りの部分「比翼の鳥、連理の枝」は、夫婦、男女の仲の睦まじいことにたとえての言葉です。

在天願作比翼鳥、在地願為連理枝

「長恨歌」は唐の白居易の作った全編七言120句から成る長編叙事詩で、玄宗皇帝が楊貴妃への愛に溺れて政を怠り、安祿山の乱をひき起こし、貴妃を失った深い悲しみをうたった詩と辞書等にはあります。

そういえば、名古屋・城山八幡宮には縁結びの御神木として「連理木」があり、「天に在りては願わくは比翼の鳥とならん。地に在りては願わくは連理の枝とならん」と永遠の契を説いています。(流行りのパワースポットです!)