初昔・後昔を『原色茶道大辞典』では…

初昔・後昔について『原色茶道大辞典』(淡交社)では以下のような説明がなされています。

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初昔(はつむかし)
碾茶の茶銘。江戸時代前期に将軍が愛飲する宇治茶の葉茶にこの銘を付けたことにはじまる。利休時代以前より製造されていた碾茶の色は一般に白みを帯びたものであったが、その後古田織部の時代には青みの強い茶が好まれて白・青両様の茶が将軍家へ納められるようになったので、小堀遠州は最初の昔からあったものとして白みある色の茶を初昔と名付け、織部好みの青色のものを初昔の後に好まれたものとして後昔と命銘したと『上林家前代記録』などに見える。ゆえに初昔・後昔はともに将軍家好みの茶であったもので、したがって初昔は白昔に、後昔は今昔に類似共通したものであったと思われる。これまで毎年最初に摘まれた茶という意味で初の字を冠し、それを摘む日が旧歴三月二十一日であるとか、八十八夜の前後二十一日間の意味で二十一日の合字をつくって昔の字を付けたなどの付会説が流布していたが、それらは誤りである。初昔・後昔の摘採目が前後しないことや、八十八夜が晩霜に注意する目安とした日にすぎぬもので、古来宇治の茶師は八十八夜を茶摘みの基準の日としていなかったことなどが、従来の説に根拠がないことを立証している。なお後昔を宇治の製茶家はアトムカシと読み、茶道家はノチムカシと呼び慣わしている。
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あれ~、巷間の諸説はなんだか一刀両断されています。

個人的には、諸説それぞれ面白いと思っているのですが…。(^O^)

キングサリの花です。