八十八夜・初昔・後昔

今日は、立春(2月4日)から数えて八十八日目にあたる日。

この頃が霜の降りる最後となるので「八十八夜の別れ霜」などといって、農家では種まきの季節とするそうです。

由来は、米という字を分解すると八十八になることからと云われ、農耕上大切な日とされているようです。

ところで、茶の湯には馴染み深い銘として「初昔」・「後昔」があり、お茶席でもよく銘を聞いたりします。

昔という字を分解すると、廿と一と日、即ち、二十一日。

このことから、八十八夜の前二十一日の間に摘んだ茶葉に「初昔」、八十八夜の後二十一日の間に摘んだ茶葉に「後昔」という銘を付けるというような記事を昔読んだ記憶があります。(記憶違いかも…)

確かめるべく、あらためて『日本国語大辞典』を引いてみました。

「初昔」…抹茶の銘の一つ。陰暦三月二十一日に新芽を摘んで精製した茶。
「後昔」…茶摘みの第二日目に摘んだ葉から精製した抹茶の銘。「初昔」に次ぐ良い茶の銘とされている。

旧暦三月二十一日にあたる日は、今年は5月6日ですが、昨年は4月17日、一昨年は4月27日でした。

こうしてみると、八十八夜(5月2日頃)を目安にして茶摘みの時期とするのは、とても理にかなっていると云えそうです。

ネットには、絣の着物に茜だすき、手甲に手拭を姉さんかぶりにした女性の写真が載っていましたネ。

♪唱歌「茶摘み」♪
夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは茶摘みじゃないか
あかねだすきに菅(すげ)の笠

そうそう、字の分解で思い出しました。

茶という字を分解すると、艸冠に人、木となることから、[草人木(そうじんぼく)]となります。

茶書には『分類草人木』が、名古屋・升半(松柏園)の煎茶銘柄には「深蒸し艸人木」があります。

紫センダイハギの花です。
マメ科の植物で、秋には大きな種(豆)をつけます。

香道一口メモ・155【六十一種名香①】

法隆寺、東大寺、逍遥(しょうよう)、三芳野、紅塵、枯木(こぼく)、中川、法華経、盧橘、八ツ橋、園城寺を特に十種名香といい上位づける。これらを八橋なら杜若襲(かさね=黄・紅梅)、枯木なら松襲(青・紫)などと重ね着する衣服の配色を引用した色紙で包まれ、焚香にもたどんとの間隔、香炉灰の量の火合いがこと細かに規定されている。