「蜘蛛の子散らし」雑感

今日は、どうでも良いとされている事を、どうでも良くない事のようにちょっとこじつけてみました。

裏千家流に於いて、七事式に次ぐ諸式の一つとされる「仙遊之式」では、薄茶を「花月」で行うことになりますが、取り込み総礼後の四畳半から元の八畳に戻る時の座替りは、俗に「蜘蛛の子散らし」と呼ばれている足の運びとなっています。

ものの本には、この時の足の運びや歩数に決まりはないと記してあり、一斉に無理のないようにスムーズに席に戻ることが旨とされているようです。
とは言いながら、上座に向かう人は右膝立ち、下座に向かう人は左膝立ちと「花月」の座替りの基本の所作が折り込まれています。
では、四畳半で最上座の人が八畳の正客以降の位置に、あるいは二番目座の人が次客以降の位置に戻る時は、どのように膝を立て、どのように廻り、左右どちらの足で畳縁をこえて八畳の元の席に戻れば良いのでしょうか?

本には、足の運びや歩数に決まりは無いとされているので、文字通り「蜘蛛の子散らし」のように四畳半から八畳の元の席に戻れば良いことになりそうです。

でも、でも、マニュアルが大好きな私にとっては少なからず気になるところで、ちょっとしたモヤモヤ感が残っています。

一般に裏千家流では、自席から用(役)があって前方に進む時は右膝立ちで、自席前の畳縁を右足で越して出るものと私は理解しています。
逆に、用(役)を終えて自席に戻る時は左膝立ちで、自席前の畳縁を左足で越して入るものと理解しています。
ここでの用(役)は、例えば、点てられた茶碗を立って取りに出てそして戻る場合、拝見物を取りに出てそして戻る場合、廻り花で花を入れに行ってそして戻る場合などです。

この足の運びで「蜘蛛の子散らし」は十分出来るような気はするのですが、さてどうなのでしょう…。

例えば、四畳半で最上座の人が八畳の正客以降の席に下がる場合は、左膝立ちで、次客以下にお尻を向けないように左足を右足の後に引いて、反時計回りに回転して、自席には左足で畳縁を越して入れば良いように思います。

また、四畳半で二番目座の人が八畳の次客以降の席に下がる場合は、左膝立ちで、
①右足を、正客にお尻を向けないように左足の後に引いて、時計回りに回転して、自席には左足で畳縁を越して入るという足の運びが考えられます。しかし、この場合には、回転する角度が180度以上になり、なんだか窮屈というか不自然な感は否めません。
②左足を、正客にお尻を向けることになるものの右足の後に引いて、反時計回りに回転して、自席には左足で畳縁を越して入るという足の運びも考えられます。しかし、この場合には、足の運びはスムーズですが、正客にお尻を向けて回転することになります。(目をつぶります!)

上記以外の以下の点については、常の約束通りで全く問題は生じません。
・上座へ向かう場合は右膝立ち、下座に向かう場合は左膝立ち。
(上座へ向かう場合は右膝立ちで、左足を右足にかぶせれば(又は右足を上座に向かせれば)不都合なく進めます)
・勿論、八畳の自席に入ってからは、正客は次客の方へ(時計回りに)回転して座り、次客以降は正客の方へ(反時計回りに)回転して座ることになります。

以上、長々と廻りくどいお話になってしまいましたが、要するに足の運びや歩数に決まりが無いことにすれば、問題なく座替りができるということのようです。(最初からそうなっている!と云う声が四方八方から聞こえます。)
更には、四畳半から八畳に下がる場合に、右足で畳縁を越して入ってもOKということにもなりそうです……。(最初からそうなっている!という声が一段と強く聞こえてきます。)

最後は見事に腰砕けとなりました…。(^O^)

今日は、台風20号通過に伴う強風・大雨のために、庭木に掛かっていた蜘蛛の巣はひとたまりもなく散ってしまい一つも見当りません。
空を見上げれば、隙間なく分厚い雲に覆われていました。