福寿福寿

福寿草が咲き出しました。

お正月には祝花として鉢植えの福寿草が重宝されていますが、地植えではやっと今頃の開花です。
昨年は、早々と地面から鉢を掘り出して暖かい室内に入れたところ、花茎だけがぐんぐん伸びて随分アンバランスになったように記憶しています。

「福寿」は文字通り幸福と長寿のことで万人の願いです。(^O^)

香道の組香にも、御目出度いときに催す組香「福寿香」があるようです。
例えば、還暦(古希、喜寿、傘寿、卒寿、白寿、茶寿)を迎えた時のお祝いなどにはピッタリかもしれません。

【福寿香】

◆香は三種
鶴として 三包で内一包試
亀として 同断
寿として 二包で無試

◆聞き方
鶴、亀の試みを聞いた後、出香六包(鶴・亀・寿の各二包)を打ち交ぜて炷き出します。

※二炷ごとに名目一つに直して、記録紙に認めます。

名目は以下のようです。

鶴・鶴と聞けば 鶴
亀・亀と聞けば 亀
寿・寿と聞けば 福寿
鶴・亀と聞けば 松
亀・鶴と聞けば 巌
鶴・寿と聞けば 寿老
寿・鶴と聞けば 仙人
亀・寿と聞けば 浦嶋
寿・亀と聞けば 蓬莱

幸福と長寿の願いを込めた御目出度い「福寿香」となっているようです。

お茶席では「福寿海」「福寿海無量」といった禅語の掛物を拝見することがあります。
意味はそれぞれでしょうが、なんだか人を幸せな気分に包む力を持った言葉のように思います。

詩歌をちこち 【新月香】

『和漢朗詠集』二四二

三五夜中新月色 二千里外故人心 (白

〔現代語訳〕今夜は十五夜、みやこ長安の地平に、いま大きな満月が姿をあらわしたところです。二千里のかなたにあるわが親友(元稹)も、この同じ月をながめていることだろうが、いったいどんな気持ちでいるのでしょうか。
出典:川口久雄『和漢朗詠集 全訳注』(講談社)

(注)三五夜=十五夜(3×5=15)。 新月=出たばかりの(満)月。 故人=旧友。元稹(げんしん)を指す。

※『新釈漢文大系99 白氏文集三』(明治書院)から引用します。

『白氏文集』巻第十四 律詩 〇七二四
八月十五日夜、禁中獨直、對月憶元九
〔解題〕八月十五日の夜、白居易が宮中に一人で宿直し、中秋の名月を見て、元稹を憶って詠んだ詩である。時に元和五年(810)、三十九歳の白居易は翰林学士として長安におり、親友の元稹は左遷されて湖北の江陵にいた。