秋の大茶会2019・悠然として南山を見る

中日文化センター主催の「秋の大茶会」が名古屋・八事の「八勝館」で催され、色づく秋の一日を楽しんできました。
表千家濃茶席・裏千家薄茶席・松尾流薄茶席・武者小路千家野点席・志野流香席の五席中から三席を選べるようになっていました。

志野流香席の組香は「春秋香」。

◆香は二種
霞として 三包で内一包試
露として 同断

◆聞き方
霞と露の試みを聞いた後、霞二包、露二包の計四包を打ち交ぜ、内より二包取って炷き出します。

答えは、霞霞、霞露、露露、露霞の四通りの内のどれかになりますが、各人の答えは和歌に置き換えて記録紙に書かれます。
歌は略しますが、霞と露の自然現象でもって一年の四季を表すところに、この組香の面白さがあるようです。

春秋香では、霞霞を春、露露を秋、そして霞露を春から秋への移ろいとして夏、露霞を秋から春への移ろいとして冬、としているようです。
面白いと思います。(^O^)

松尾流薄茶席の床に掛けられていたのは「悠然看南山」(悠然として南山を看る)の一行物。
陶淵明の漢詩の中にある「採菊東籬下 悠然見南山」からとられた句となっています。
ここでの南山は、世俗を離れたすまいから望む山をいうようで、長安の東南にある終南山のことのようです。
〔訂正〕陶淵明は41歳で宮仕えを辞めて故郷の田園に帰っています。故郷は盧山(ろざん)の麓だそうですから、南山は盧山(現:江西省九江市の南方にある山)ということになります。<m(__)m>

裏千家薄茶席は「お祝い」の道具組でした。
及台子、菊桐皆具、四君子蒔絵炉縁、鳳凰の大典茶碗、寄付きの甲赤茶器などなど、華やかな取り合わせでした。

表千家濃茶席の床には、根来塗りの盆上に大きな青磁香炉が飾られ、目を奪われました。
高台が盆に接していて、三つの足は盆から浮いているように見えました。
徳川美術館蔵の千鳥香炉をぐんと大きくしたようなイメージの香炉です。

一日、楽しませていただきました。感謝です。

茶の木の花でしょうか?
田舎家の脇に咲いていました。