思羽包の結び方

今日は(から)二十四節気の「小雪(しょうせつ)」。
細長い日本列島の北の方では、既に初雪の便りが報じられていますが、東海地方の平野部では雪はまだ降っていません。
小春日和の日もあれば、今日のように時雨降る寒い日もあり、遠からず伊吹降ろしと共に風花が舞い、本格的な冬を迎えることになりそうです。

暦を見ると、旧暦ではまだ十月で、今日は三の亥の日となっています。
平安の昔には、一の亥、二の亥に続いて玄著餅が下賜されたようです。

新刊書『香木のきほん図鑑』(世界文化社)を見る機会がありました。
著者は、京都の山田松香木店代表・山田英夫氏です。

伽羅・沈香・白檀に絞って、多種多様な香木を全てカラー写真で掲載し、解説が付されています。
一口に伽羅と云っても、色や形態が実に様々であることが良く解ります。
聞香席で炷かれた伽羅や沈香の小片から、香木の全体像(色、形態、産地など)を想像してみるのも面白いかもしれません…。

「なるほど!」と思ったのはコラム、中でも「香木のニセモノがたり」は具体例の写真と共に説明されていて説得力がありました。(^O^)
香木は価値が高く、真贋が解りにくいので、大量に出まわるとした上で、その手法が記してあります。
曰く、
・香木の重量を増すこと。→個体の中に金属を入れる。
・香木でない木塊を香木に見せること。→彩色・加熱・接着・薬品注入などによる。
品物は異なりますが、案外、骨董品の市場と似たような側面があるのかもしれません…。

香道具の写真の中に「十種香箱」があり、「思羽包(おもいばつつみ)」が組み込まれていました。

『日本国語大辞典』に載っている思羽包の図と全く同じです。

思羽包

この紐の結びは、淡路結びの応用で文箱の紐の結び等にも使われています。
両端の紐を引けば、スルスルと解ける魔法の結び(というより折り畳み)になっています。
思羽包を見る度に、船越英一郎主演の二時間ドラマ「京都舞踊襲名殺人事件」(2012年)を思い出します。懐かしい!!

[結び方](とは云うものの、結んではいません。)


②左の紐を写真のように置きます。

③右の紐を写真のようにくぐらせます。

④更に、写真のようにくぐらせて右上に出します。(これは淡路結びで、金封などでお馴染です。)

⑤左の紐を写真のようにくぐらせ、右下に出します。

⑥右の紐を写真のようにくぐらせ、左下に出して完成です。(^O^)

⑦紐の両端を引けば、写真のようになります。

思羽包の紐の結びは上記の通りですが、文箱などではバリエーションもあります。(^O^)