青磁 & 香炉の格付け
10日程前のNHKBS3の番組「美の壺」で、青磁(青瓷)が取り上げられていました。
美しい青緑色をした青磁の数々は、古くから人々を魅了し続けてきました。
茶の湯の世界では、特に花入で賞翫され、皆具や茶碗においても高い品格を保つ道具として、大切に扱われているように思います。
名品と呼ばれている花入や香炉には独特の色合いと深みがあり、吸い込まれて行くような感じさえします。
名古屋・徳川美術館の展覧会で、同館所蔵の青磁の花入や香炉を見る度に、素直に「美しい!」と感じ、見とれてしまいます。
中国では古くから磁器・青磁が焼かれていたようですが、南宋時代(960~1276)に特に優れた品々が作られるようになり、その後の元・明時代にわたって、龍泉窯で焼かれた砧(きぬた)青磁、天龍寺青磁、七官(しちかん)青磁と呼ばれている品々は、茶の湯の世界で殊に珍重された(されている)ようです。(※砧青磁を最上とし、七官青磁を下手としているとか…。)
※左から、①砧青磁(南宗時代)、②天龍寺青磁(南宗~元時代)、③七官青磁(明時代)
※出典:①②『茶の湯の名品』(徳川美術館)、③『別冊太陽-気軽な茶道具』(平凡社)
名称の由来です。-出典『原色茶道大辞典』(淡交社)-
①砧青磁=ある鯉耳の花生にひび割れがあり、響き(※)に因んで利休が付けたという説と、足利義政所有の花入の形が絹を打つ砧(きぬた)に似ていたので付けられたという二説がある。(※花生のひびを、衣を打つ砧のひびきにかけての命名)
②天龍寺青磁=天龍寺船によって将来されたからとも、夢想国師が天龍寺に伝えた浮牡丹手の香炉が高名であったからともいわれる。
③七官青磁=明朝の官名とも、将来した人物の名ともいわれる。
その他、南方で焼かれた黄褐色の珠光青磁、朝鮮で焼かれた象嵌の雲鶴手青磁などがあり、日本でも有田焼などに青磁の技法は伝承されています。
蛇足ですが、青磁の花入は最上位格「真」の花入として、畳床では敷板に矢筈板を用いるのが習いとなっているようです。(^O^)
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NHKBS「美の壺」では、志野流香道・蜂谷宗玄家元が綺麗に筋目がつけられた青磁香炉で、香木の香りを聞いているシーンがありました。
番組のHPを覗いてみたところ、取材こぼれ話として、香炉の格付けの話が出ていました。
HPには、五種類[色絵付・金襴手・白磁・染付・青磁]の香炉が並べられた写真が添えられています。(染付の香炉は、志野流香道の教場で使用されている香炉です。)
五つの香炉の格の順番は………?
答えは、左から右へと格が上がり、青磁が最上位。(^O^)
※「美の壺」取材こぼれ話のHPはこちら→ https://www4.nhk.or.jp/tsubo/179/
下は、青磁香炉の逸品、徳川美術館蔵の青磁香炉「千鳥」です。
※図録『香の文化』より
いよいよ今年も残すところ2日となりました…。