今年の10大ニュース

今年も残すところ3日。
数年来、年末には一年を振り返り、今年の10大ニュースを選ぶことにしています。
忘れていることが多いので、カレンダーに書き込んである月々のメモを見ながらのピックアップです。

10大ニュースを書きだしてみると、なんと半分が茶と香に関係する事柄でした。
今年のマイベスト3です。

1位:曜変天目茶碗巡り

今年の春4月と5月、国宝の曜変天目茶碗3点の見おさめとばかり滋賀、奈良、東京へと足を運び、ちょっとした追っかけ気分を満喫しました。
特に、龍光院蔵の曜変天目茶碗は展示されtることが極めて?稀なので、千載一遇の機会となりました。

・MIHOミュージアム「大徳寺龍光院 国宝曜変天目と破草鞋展」(3月21日~5月19日)
・静嘉堂文庫美術館「日本刀の華 備前刀展」(4月13日~6月2日)
・奈良国立博物館「藤田美術館展」(4月13日~6月9日)

左:龍光院蔵の曜変天目茶碗
中:静嘉堂文庫蔵の曜変天目茶碗(稲葉天目)
右:藤田美術館蔵の曜変天目茶碗

※三碗を比較すると、矢張り中央の「稲葉天目」が圧倒的な存在感を放っていて天下一と賞されるのも頷けます。三碗の並びは、何だか、オリンピックの表彰台の並び方の様にも思えてきますが、だとしたら個人的には180度回転させた図の順ですね。(^O^)

2位:佐竹本三十六歌仙絵を追う

秋の展覧会の目玉の一つが、京都国立博物館で開催された「佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美展」(10月12日~11月24日)。
キャッチコピーは、「切断」から100年-奇跡の再会。

上下二巻の三十六歌仙絵は、大正八年(1919)に「切断」されて時の富豪・茶人たちの手に渡り、それぞれ表装が施されて新たな美術品として茶会の床を飾ったりしていますが、幾多の数奇な流転を経ながらも国内に留まり、今に伝わっているようです。
なお、京博の展覧会には、凡河内躬恒、猿丸太夫、斎宮女御、藤原清正、伊勢中務の六点は出展されていませんでした。(その他は全て出ていましたから、正に空前絶後の展覧会です。)

因みに、昭和58年にはNHK特集「絵巻切断 秘宝・36歌仙絵の流転」が放送され、合わせて『秘宝 三十六歌仙の流転-絵巻切断-』が出版されています。
同書の中の「ドキュメント 佐竹本三十六歌仙の流転」は切断のあとさきを余すところなく描いていて、とても読みごたえがあります。

NHK特集のビデオも、所蔵している図書館で観ましたが、内容は上記の本にきちんと反映されていて、追認することができました。(VHSビデオを機器のスロットに挿入する時はちょっとしたレトロ感を覚えましたね。)

その後、長野県諏訪湖畔のサンリツ服部美術館で開催された「やまとうた 三十一文字で綴る和の情景」(10月12日~12月15日)に、中務(なかつかさ)が出品され、同展を見学にも行きました。(^O^)

3位:蘭奢待と久しぶりに対面

秋の展覧会の目玉のもう一つが、東京国立博物館で催された「正倉院の世界-皇室が守り伝えた美-」(10月14日~11月24日)。

TVでも取り上げられた螺鈿紫檀五絃琵琶は圧巻の展示でしたが、正倉院の勅封および黄熟香(蘭奢待)とその収納箱も強く印象に残っています。
蘭奢待を見たのは、2011年の奈良国立博物館での「正倉院展」以来です。

番外

文庫本の高田郁『みをつくし料理帖』にドボンとはまり、12月にはNHKTVで放送された総集編そしてスペシャル編を楽しんだ年でもありました。
笑いあり、涙あり、ツボを心得ためちゃくちゃ面白い小説でした。(文章力に脱帽!)
そういえば、物語に出てきた「鯛中鯛」を真剣に探したものです…。(アハハ)

まだ、もう一つクライマックスが残されているので、来年か再来年あたりに続編が製作されるかもしれません…。(^O^)
期待しています!

詩歌をちこち 【恋草香】 

|①『亀山殿七百首』 恋 541
|  寄忍草恋   弾正親王
おのづから忘るる事の種もがな しのぶばかりの草の名もうし

|②『新千載和歌集』巻第十五 恋歌五 1564
|  文保百首歌たてまつりける時 芬陀梨花院前関白内大臣
忘草たれ種まきてしげるらん 人を忍ぶのおなじ軒ばに

*和歌出典『新編国歌大観』(角川書店)
※弾正親王=源忠房(みなもとのただふさ)
※芬陀梨花院(ぶんだりかいん)=一条内経(いちじょううちつね)