五常香
3月に予定されていた大寄せのお茶会やお香会は軒並み中止または延期となりました。
4月になれば……と期待していたのですが、新型コロナウイルスの感染拡大は収まらず、大寄せのお茶会などはことごとく中止となっています。
今朝、カレンダーを見てびっくりしました。
なんと、4月の茶香行事予定書き込み欄がまるっと空白になっています。(思えば、3月は取り消し線だらけでした!)
なんということでしょう…!
※椿の品種「式部」が満開です。
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以前、組香の出香数や香包数などについて少し調べたことがあります。
全てを調べたわけではありませんが、出香数が25炷にも及ぶ組香に出会ったときはさすがに驚きました。
五常香です。
10炷でも四苦八苦しているというのに、25炷も聞いてどうすんねん、もうこれはほとんど「修業」ではないか、と正直思いました。
組香自体はシンプルですが、25炷も「聞く」となると、最後のほうは意識朦朧となりそうです…。
実際に、この組香が催行されることはあるのでしょうか?
五常といえば、仁・義・礼・智・信の五つの道徳。
五行 五時 五方 五常
木 春 東 仁
火 夏 南 礼
土 土用 中央 信
金 秋 西 義
水 冬 北 智
五行[木火土金水]に対応する五常は[仁礼信義智]ですが、日本では方角を東西南北(中)と称していることから、五常も仁義礼智信ということになるようです。
組香自体はよく考えられていると思いますが、炷き出される香数25炷は矢張り多いと言わざるを得ません。
個人的には、出香数があまりにも多いので、経験することはない組香の一つと思っています。
【五常香】
◆香は五種
仁として 五包で無試
義として 同断
礼として 同断
智として 同断
信として 同断
◆聞き方
仁・義・礼・智・信を各一包づつ計五包を一結びとして五組用意し、一結びづつ五度に聞きます。
先ず、仁義礼智信の五包一結びをとり、打ち交ぜて炷き出します。
始めの一結びは、記紙に仁義礼智信と書きます。(五包とも無試なので、聞いた順に仁義礼智信として、これを試みとして扱うことになります!)
二組目からは、始めの仁義礼智信の聞きに合わせて「つるび」で聞いていきます。
※この組香は、云わば三十組「時雨香」のロングバージョンです。
◆記紙の書き方
答えは短冊に書く場合と、記紙に書く場合の二通りあるようですが、下は記紙(四つ折り)の場合です。
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(白紙)
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一 仁義礼智信
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二 信智礼義仁
三 儀礼仁信智
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四 智義信礼仁
五 礼信義仁智
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※上図?を時計回りに90度回転させて、縦書きにして見てください。
◆名目
一組五種(炷)とも当たれば、組数に応じて名目が与えられます。
五組とも当たれば 五常
四組 当たれば 四行
三組 当たれば 三綱
二組 当たれば 二柄
一組 当たれば 一徳
一組も当たらずは 釋教
※五常(ごじょう)・四行(しこう)・三綱(さんこう)・二柄(にへい)・一徳(いっとく)・釋教(しゃっきょう)の意味については略します。
◆記録紙
答えは一組を単位として千鳥で二行に記します。(その下に名目)
合点は一つ一つに掛けます。(五組全当りは25個掛けることになります)
◆メモ
五種五包づつ(計25包)と云えば、源氏香を思い浮かべますが、源氏香はそのうちの五包だけ取り出して、香の異同を聞き分ける組香となっています。
五常香は結局25包全てを聞くことになりますが、組み方がとてもよく考えられていると思います。
最後まで集中力・持続力が保てるのか、鼻の奥にあるセンサーが最後までちゃんと働くのか、資質が試される組香と云えそうです…。!(^^)!