春竜胆
散策路の傍らに、はるりんどう【春龍胆】の可憐な花が咲いていました。
秋に咲く龍胆に比べると随分と小柄ですが、名前の通りリンドウ科の春龍胆です。
この時季、青紫色の花は一際鮮やかで、なんだか華やいだ幸せな気分にしてくれます。
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りんどう【龍胆】は、龍胆(りゅうたん)の字音を「リウタム・リウタウ」と表記してできた語と辞書にはあります。
また、龍胆の根は龍胆(りゅうたん)と称し赤褐色で苦みが強く健胃薬に使われるとあり、異名として「ささりんどう」などが記してあります。
ささりんどう?…聞き覚えがあります。
以前、香道の札銘を少し調べていた頃、秋の部に龍胆が入っていました。
尤も、目にしたのは「胆」の旧字体「膽」を用いた「龍膽」でしたが、ルビには「ササリンドウ」とありました。
その時は「笹龍胆」という種類の竜胆があるんだ、というくらいに軽く流していました。
しかし、実は龍胆の異名だったという訳です。(大したことではありませんが…)
よく知られているように、香道で用いられる札銘の春・夏・秋・冬・祝の部には、それぞれ漢字二文字の植物が充てられています。
「えっ、どうしてこの漢字?」と思うような植物も少なからずありましたが、辞書を引くと、それらの多くは漢名であったように覚えています。
悩ましかったのは読みとルビ。
例えば、葵花をハナアフヒ、蜀葵をアフヒと読ませたり、朝顔の漢名である蕣花をアサガホと読ませるといったように、昔の用例を古語辞典などで調べる必要があり、中にはよくわからないものや、なじめない感がある表記もありました。
どうしたものだろう…。
たどり着いた結論は、現代仮名遣いによる読みとルビ。
これならすっきり解決、私的には一件落着となりました。
記録などで表に出るのは、あくまでも漢字二文字なので、個人的な読みとルビでも、心覚えとして全く支障はありません。!(^^)!
ところで、ささりんどう【笹龍胆】。
りんどう【龍胆】の異名ですが、紋所(村上源氏の定紋とか)としてその名があるようです。
※リンドウの葉を笹のように五葉ならべ、その上に三つ花を描いたもの。(広辞苑)