穀雨・卯の花・山芍薬

今日は(から)二十四節気の「穀雨」。

愛用の新暦・旧暦カレンダーには次のように記してあります。
「穀物の生育を助ける春雨がしきりに降る頃である。もともとは冬に播いた麦類を育てる雨という意味であったが、麦類に限らずあらゆる作物にとって大切な雨が降る。卯の花の咲く頃で「うのはなくだし」ともいう。」

そう云えば、昨日はまとまった雨が降りました。

※うのはなくたし【卯の花腐し】(出典:『日本国語大辞典』)
(「くたし」は腐らす意の動詞「くたす(腐)」の連用形の名詞化。「うのはなくだし」とも)陰暦四月の中・下旬に降り続く長雨が卯の花をくさらすこと。転じて、五月雨(さみだれ)に先立って降る長雨。《季・夏》

卯の花が咲くのはもう少し先でしょうか…。
卯の花と云えば「♪卯の花の匂う垣根に…」という唱歌がありますが、ここでの「匂う」は嗅覚的な意味ではなくて、視覚的な意味であって、卯の花は香らないとか…。

元々、におう・にほふ【匂】は、色がきわだつ、または美しく映える、というビジュアル的な意味があるようです。

卯の花は、うつぎ(空木)の異名。
古来、ほととぎすなどとともに、初夏の代表的風物の一つとされ、白く咲き乱れるさまは、雪、月、波、雲などにたとえられた、と同辞書にはあります。

だからでしょうか、関連した語がたくさんあります。
卯花和え、卯花烏賊、卯花煎、卯花縅、卯花垣、卯花襲、卯花腐、卯花曇、卯花汁、卯花鮨、卯花点、卯花月、卯花月夜、卯花漬、卯花膾、卯花鮃、卯花葺、卯花飯、卯花焼など。
色が白いことから、あるいは豆腐のから(雪花菜(きらず)、おから)の意で、卯の花が付してあるようです。

「卯花点」は裏千家玄々斎好みの夏の季に寄せた茶箱点前。
裏千家では、基本的な茶箱点前として扱われていますが、畳上に置いた茶箱の蓋上に茶碗をのせてお茶を点てる所作があり、どうしても蓋に傷が付くようです。(蒔絵や塗りの茶箱ではちょっと…、いえいえ木地の茶箱でも…。)

香道では組香に「卯花香」があります。
4月下旬から5月上旬にかけて催される組香になっているようです。

わが宿のかきねや春をへだつらん 夏来にけりと見ゆる卯の花  源順(みなもとのしたごう)

「卯花香」については以前記した記憶があり、サイト内で検索したところ、2019.4.21に組み方を、2019.3.30に「詩歌をちこち」で証歌を取り上げています。
香は四種で、春、夏、垣根、卯花となっています。

真っ白な卯の花が咲く垣根を境にして晩春と初夏に分けるという季節感を楽しむ組香のようです。
春と夏をしっかり聞き分けることは勿論のこと、卯花も聞き当てなくてはなりません…。(要するに全部?)

この時季にぴったりの組香と云えそうです。!(^^)!

白い花と云えば、山芍薬が今日開花しました。
鉢植えにしていますが、お気に入りの花の一つです。
とても美しいです…。