有試と無試

今週は本格的な寒波が到来しました。
16日には東海平野部でこの冬初めて積雪を観測し、群馬・新潟にまたがる関越自動車道では大雪のため多くの車が立ち往生してしまいました。
油断大敵、降り続く雪の怖さ、想像を超える大雪の恐ろしさを改めて知った次第です。

紅葉の葉がすっかり落ちてしまいました。
庭木が冬の剪定を待っています。

今年も残すところ十日余り。
大掃除をはじめとして、やらなくてはならないこと、やっておきたいことが幾つか目の前にありますが、時間切れになりそうな気配が漂っています。
「まぁ、来年でも良しとしよう!」なんちゃって…。

前回は「十種香」をとりあげました。

【十種香】
一として 四包に認め内一包
二として 同断
三として 同断
客として 一包に認め無試

試み香三包を聞いた後、出香十包打ち交ぜ炷き出された香を聞いて答えるというものです。

組香のバリエーションは実に豊富で、上記の試みの有・無を逆にしたパターンとして組香【冬夜香】があります。

【冬夜香】
一として 三包に認め無試
二として 同断
三として 同断
客として 二包に認め内一包

客香を試みた後、出香十包打ち交ぜ炷き出された香を聞きますが、一二三は無試のため、十炷香のように「つるび」で答えることになります。
勿論、客香は正聞きです。
なお、「客香」と一口に云いますが、その名の通り、お客が持参することもあった(ある)のでしょうか…。

【冬夜香】は、客香が何番目に出たかによって記録紙の客の所に名目で記すことになっていますが、詳細は市販されている本『香道の作法と組香』(雄山閣)に詳しいです。
名目は、冬の夜の情景を宵の口から夜が明ける頃まで、段階的に表現しているようです。

初客は 寝覚
二客は 擣衣
三客は 蛬
四客は 千鳥
五客は 嵐
六客は 時雨
七客は 霰
八客は 鐘音
九客は 鶏(or鶴)
十客は 有明

この組香は、客香を試香とするところが少し変わっていますが、このようなパターンは【冬夜香】以外にも幾つかあるようです。
尤も、歌を付したり、後出香で客が出た時点で終わりにしたり、何れも遊び方に変化が付けてあるようです。

組香はたとえ香を聞かなくても、想うだけでも十分に面白い?