春夏秋冬「遊々香」
明日28日で2月も終わり。
年が改まってから、早や二ヵ月も過ぎたのかと思うと、時の流れの速いことにただ驚くばかりです。
2月も大寄せのお茶会・お香会はほぼ開かれず、業界は一年間もの長期にわたる「自粛」の最中となっています。
明日28日で愛知県に出されていたCOVID-19「緊急事態宣言」は解除されるようですが、依然として連日40~50名の新規感染者が確認されている状況で、この先の見通しとなると未だ不確定です。
一日も早く収束することを願っています。
※あせび【馬酔木】の花が満開です。
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自然の美しい風物を端的に表している言葉として、「花鳥風月」や「雪月花」は比較的よく耳にするところです。
絵画や詩歌の大切なモチーフとなっているこれらの言葉は、なんだか日本人の心・DNAに摺りこまれているのではないか、とさえ感じます。
「花鳥風月」や「雪月花」は、直接的に四季を代表する風物を表しているわけではなく、自然の美しい風物を総称したシンボリックな言葉として捉えています。
例えば、雪月花。
雪と聞けば、冬を代表する風物に異論はないと思いますが、春の淡雪も捨てがたい風物です。
月にしても、中秋の名月があるように専ら秋の風物となっていますが、春の朧月夜や冬の冴え冴えとした月にも風情があります。
花と聞いて、早春の梅、春爛漫の櫻を思い浮かべる人は多いかもしれませんが、秋の菊花を思い浮かべる人もいるでしょう。
とは云うものの、個人的には固定観念ができあがっているように感じています。
雪と云えば冬、月と云えば秋、花と云えば春、です。(^^)
日本の伝統文化・伝統芸能には、季節を代表する風物として「雪月花」が取り入れられているようです。
茶道では、裏千家の茶箱点前に雪・月・花の各点前があり、それぞれ冬・秋・春の季節に寄せて作られています。(因みに、夏の季には「卯の花」点前)
これらは何れも11代家元・玄々斎が考案した茶箱点前となっています。
香道では、組香に「雪月花香」(香種は雪・月・花・客)や「替雪月花香」(香種は雪・月・花・時鳥)などがあります。
特に「替雪月花香」では、夏を代表する鳥としての時鳥(ほととぎす)が香種として用いられているように見えます。
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各季節の風物と共に春夏秋冬が詠われている漢詩を二つ。
◆「四時歌」(四時(しいじ)の歌)※出典『石川忠久・中西進の漢詩歓談』(大修館)
春水満四澤 春水(しゅんすい)四澤(したく)に満(み)ち
夏雲多奇峰 夏雲(かうん)奇峰(きほう)多(おお)し
秋月揚明輝 秋月(しゅうげつ)明輝(めいき)を揚(あ)げ
冬嶺秀孤松 冬嶺(とうれい)孤松(こしょう)秀(ひい)づ
〔通釈〕春は水が四方の沢地に満ち満ち、夏は入道雲がすばらしい峰を形づくる。秋の月は明るく輝いて中天にかかり、冬枯れの嶺には、松の秀でた姿が目立つ。
ここでは、各季節の風物として、春は水・夏は雲・秋は月・冬は嶺となっています。
◆『無門関(むもんかん)』より ※出典『茶席の禅語大辞典』(淡交社)
春有百花秋有月 春に百花有り、秋に月有り
夏有涼風冬有雪 夏に涼風有り、冬に雪有り
ここでは、各季節の風物として、春は百花・夏は涼風・秋は月・冬は雪となっています。
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ところで、新作の組香に「遊々香」があるようです。
1994年(平成6年)の全国大会大阪大会で行なわれた組香と聞いています。
香種として[春遊・夏遊・秋遊・冬遊]、名目には[花・風・月・雪]が用いられているようです。
聞きの答えは季節の風物・香銘で答えるなど、とても面白そうな組香です。
機会があれば「遊々香」を遊んでみたいものだと思っています。(^^)