鶯神楽

庭木のウグイスカグラ【鶯神楽】の一番咲きです。
漏斗状の小さな花です。

ウグイスカグラは高さ2m程の落葉低木で、細い枝をあちらこちら不規則にたくさん伸ばしています。
名の由来は、古名ウグイスガクレの転訛とも、ウグイスの初音の頃に咲くからとも…。

確かに、ウグイスが隠れるには絶好の藪のような場所・樹形かもしれません…。(^O^)

「初音」と云えば、春の季語になっていて、特に鶯がその年初めて鳴く声とされています。

名古屋・徳川美術館所蔵の国宝「初音の調度」は、三代将軍家光の長女千代姫が尾張徳川家二代光友に嫁ぐ際に持参した豪華な蒔絵調度として知られています。
棚や貝桶、文箱、化粧道具、遊戯具、香道具などなど、贅を尽くした調度品となっています。

初音の調度の名は、『源氏物語』初音の帖にある歌の意を全体の意匠として、歌の文字を葦手書きに散らしているところから採られているようです。

年月を松にひかれてふる人に 今日鶯の初音きかせよ

鶯は春告鳥(はるつげどり)とも云われるように、春のさきがけとして親しまれ、他の花に魁て咲く梅とよく取り合わされています。

ところで、「初音」と云えばもう一つ、一木三銘(初音・白菊・柴舟)の伝説で有名な香木「初音」があります。
森鴎外の短編小説『興津弥五右衛門の遺書』では、細川家と伊達家による本木(もとき)と末木(うらき)をめぐる争奪の顛末が描かれていて、とても興味深い物語になっています。
「初音」の銘は、権僧正永縁(ようえん)の古歌から引かれています。

聞くたびにめづらしければほととぎす いつも初音の心地こそすれ

歌の中にある「初音」はホトトギスの初音で、ウグイスのそれではありません。

実は、長い間思い違いをしていました。
古書「四季雑香銘集」春の部の先頭には、一木三銘香への敬意を表してでしょうか、初音が挙げてありました。
これから、春→初音→鶯と短絡させてしまったのでした。
『広辞苑』で初音を引くと、「鶯・杜鵑(ほととぎす)などのその年の初めての鳴き声。初声」とありました。

その年の初めての鳴き声なら、鶯・杜鵑をはじめとする鳥、鹿などの動物、蝉や鈴虫などの昆虫にも初音!がありそうです。(^^)

昨夜のNHKEテレ・趣味どきっ!は「茶の湯武者小路千家 おうちで楽しむ茶」の1回目でした。(全4回)
新型コロナ感染対策を十分に施した上で、番組はお茶を楽しむことに力点を置いて制作されているようでした。

千宗守家元の変わらぬ滑らかな語り口と元気なお姿を見て、昨年来低迷している茶の湯業界の復活は近いように感じました。

TVで茶の湯番組なんて、コロナ禍にある業界に射してきた一筋の光と云えそうです。(かなりオーバー?)