霜降
今日は二十四節気の一つ「霜降(そうこう)」。
また、七十二候では「霜始降(しもはじめてふる)」。
文字通り、霜が降り始める頃の意ですが、当地ではまだ観測されていません。
今週初めから、急に寒くなり、TV等で北国や山岳地方の冠雪が報告されています。
二、三日前の事、YouTubeで上高地のLIVE映像を見てみると、穂高連峰が中腹まですっかり雪化粧していました。
案外そう遠くない日に、当地でも「初霜」ということになるのかもしれません。
「霜降」から、この時季に遊ぶ組香の一つ「初霜香」(大外組・秋)を思い出しました。
(2017年10月31日にblogに掲載した記事のほぼ再掲です。もう、四年も経っているとは…。)
◆香は二種
初霜として 三包で内一包試
白菊として 二包で無試
◆聞き方と答え方
試みの初霜を聞いた後、
初霜、白菊の四包を打ち交ぜ、内二包を取って炷き出します。
初霜・初霜と聞けば
心あてにおらばや折らん初霜の と記紙に書きます
白菊・白菊と聞けば
おきまどわせる白ぎくの花 と記紙に書きます
初霜・白菊と聞けば
おのづから残るも淋し霜枯れの と記紙に書きます
白菊・初霜と聞けば
庭の面に老いの友なる白ぎくは と記紙に書きます
※記録紙で、全あたりの人には、初霜と書かれます
◆証歌
①心あてにおらばやおらん初霜の おきまどわせる白菊の花 躬恒(古今和歌集277・和漢朗詠集273)
②おのづから残るも淋し霜枯の 草葉にまじる庭の白菊 師良(新後撰和歌集460)
③庭の面に老の友なる白菊は 六十ぢの霜やなほかさぬべき 後宇多院(風雅和歌集765)
◆記録紙
| 初霜 白菊
名 心あてにおらばや折らん初霜の 一
名 おのづから残るも淋し霜がれの 初霜
名 心あてにおらばや折らん初霜の 一
[メモ]
※「初霜」が先に出れば証歌②を、「白菊」が先に出れば証歌③となっていますが、よくぞお誂え向きの歌を探し出し、初霜・白菊で組んだものだと感心します。
※霜は白髪をたとえていう語ですから、初霜、白菊、白髪の情景を連想しながら遊ぶ組香のようです。
※菊の異称=翁草(おきなぐさ)、齢草(よわいぐさ)、千代見草(ちよみぐさ)、優草・勝草(まさりぐさ)、花の弟(おとと)、など。
※六十=六十路(むそじ)…六十歳
【余談】
・「白菊」と云えば、一木三銘の「初音」「白菊」「柴舟」(「蘭(ふじばかま)」を含めて一木四銘とも)を思い出します。森鴎外の短編小説『興津弥五右衛門の遺書』には経緯が興味深く記されています。
・菊の異称は花の弟(おとと)…花の兄(あに)は梅の異称なんですね。
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香名に「白菊」があったことから、菊に似ていることからその名があるキンポウゲ科のシュウメイギク【秋明菊】の鉢植写真です。(嵯峨菊はまだ咲いていません…)
別名キブネギク【貴船菊】ともいい、京都・貴船神社辺りに多くあったことからの名とか…。
先日、豊国神社でお茶会があり、裏千家のお席では大きな竹花入れに貴船菊が三本ほど?入れてありました。
席主さんのお庭にある貴船菊とのことで、こだわりの淡紅紫色の八重咲きの花でした。
現在では秋明菊の名で、白色の八重や一重の物が広まり、ピンク色のものまであるようです。
ところで、写真の白い八重咲の秋明菊、雄しべは黄色の部分、雌しべは中心の緑の部分だそうです。
地下茎を伸ばしながら株を拡げているようです。
秋明菊が風に揺れる姿はどこか儚げ、凛とした菊の姿とは一味違う晩秋の趣きです。