小春日和
ここ数日、風は穏やか、気温は20℃近い小春日和の日々が続いています。
沙羅の葉はすっかり落ち、箒で掃き集める際にカサカサと音を立てるのは、例年通りの初冬の風情です。
南天の実はすっかり赤くなり、ツワブキの黄色い花、山茶花のピンクの花が初冬を彩っています。
※ツワブキ【石蕗】
※サザンカ【山茶花】
ほぼ毎日のように、一度は見ていた上高地の河童橋ライブカメラが冬季閉山に伴い昨日終了しました。
河童橋から眺める岳沢・穂高の峰々は空の青さ、流れる雲と相まって絶景そのもの、見飽きることはありません。
ホテルなどの宿泊は14日泊で終了、15日には閉山式が行われ、16日からはタクシーなどの釜トンネル通過が不可となり、観光シーズンは終了しました。
来年4月17日のライブカメラ再開を楽しみにしています…。(^^)
※13日(土)の映像
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今日は七十二候の「金盞香(きんせんかさく)」。
「すいせんの花が咲き始める」と暦にはあります。
「きんせんか」と云っても、キク科のキンセンカ【金盞花】のことではありません。
キンサン【金盞】とは「金で作った杯」のこと。
和水仙の花の中央の黄色いカップを金杯に、周りの白い花被片を銀の台に見立ててのことでしょうか。
きんさんぎんだい【金盞銀台】は「スイセンで一重のものをいう。古来、上品な美しさがよろこばれた。」と『日本国語大辞典』にはあります。
七十二候の金盞は水仙のこと。
更に、茶書『山上宗二記』(1588-90)から「花之事、十月に御茶の口切候<略>水仙花の事也、金盞銀台、此花何も冬専に用る」と、同辞書には用例が引かれています。
旧暦では冬季十月の半ばとなっていますが、水仙の花はこれからといったところでしょうか…。
水仙で有名な越前海岸の様子が気になるところです。(^^)
水仙の花の香りは鮮烈です。
時々、組香で聞く香りの中にそれと似た香りがあると、「あぁ~、スイセンの香り」と記憶しておくことがあります。
「これだけは外せない」と思い、廻ってくる香炉にスイセンの香りを待っているのですが、鼻奥のセンサーが鈍くなるからでしょうか、同じ香りは来なかったという経験は一度や二度ではありません。
香木の香りは変化するもの、と良く云われますが、しかと聞き分ける人もいるわけですから、矢張り修行不足ということです。ハイ。
上記のツワブキ、サザンカ、スイセンは、何れも香道の「札銘」にその名があります。
札銘【冬の部】※読みは現代仮名遣いで!
落葉(おちば)
石蕗(つわぶき)
山花(さざんか)
榧花(かやのはな)
残菊(ざんぎく)
枯柳(かれやなぎ)
寒菊(かんぎく)
水仙(すいせん)
探梅(たんばい)
霜芒(おばな)
柊花(ひいらぎのはな)
茶梅(ちゃのはな)
枇杷(びわ)
冬葱(ねぶか)
雪篠(ゆきざさ)
凍松(ふゆのまつ)
室梅(むろのうめ)
蕗塔(ふきのとう)
枯芦(かれあし)
水鮮(せっちゅうか)
霜楓(しものかえで)
冬梅(ふゆのうめ)
残楓(ざんふう)
雪柳(ゆきのやなぎ)
上記とは異なる漢字・読みの伝承もあるようです。(^^)