銀葉事情

今日は12月20日、今年も残すところ10日余りとなりました。
年末の大掃除にぼちぼち取り掛かっていますが、遅々として進まないのが毎年恒例の年末大掃除といったところ。
まぁ、それなりに…です。 (^^)

今週初めには当地にも初雪が舞い、いよいよ本格的な冬の到来です。
今日は、銀葉について…。

聞香では、聞香炉に炭団を埋めて灰を整え、中央に銀葉を乗せ、その上に香木を置いて、立ち上る香りを味わう習いとなっています。
銀葉はその名の通り、昔は銀の薄片などが使われていたようですが、現在は使い勝手の良さから雲母に金属枠を付けたものが使用されています。
尤も、名香席などで名香を炷くときは九分(約27mm)角の縁無しの雲母を用いているようですが…。

香老舗のwebショップなどで販売されている銀葉を見てみると、一枚(一葉)の大きさが微妙に違い、価格にもバラツキがみられます。
銀葉の大きさは七分(約21mm)角と思い込んでいましたが、web上では20mm角から23mm角まで若干の違いがあり、価格も一枚440円(税込)から990円(税込)まで、お店によって様々です。
仕入れ先や仕入れた時期によって価格が違っているのでしょうが、近年こうした細工物の作り手が少なくなっていると聞いていますので、近い?遠い?将来、〇〇mm角の銀葉しかない!なんてことが起こる可能性は無きにしも非ずです。

※22mm角の銀葉

ただ幸いなことに、千家流茶道には「七事式-且座(さざ・しゃざ)-」の中で香を炷く所作があり、銀葉は香道だけでなく茶道でも必要とされていることから、作り手がいなくなる心配はないと思っています。 (^^)

ところで、雲母の周りに金属枠がある銀葉では、金属の継ぎ目が目に入ることがありますが、さて、継ぎ目の位置はどう揃えたものなのでしょうか…。
香元から見て、継ぎ目の位置は手前側、向こう側、左側、右側の4通りが考えられますが、元は金属枠などなかったことを思うと、揃っていさえすればOKのような気がしないでもありません…。(バラバラの向きは流石にちょっと…)
TV番組やYouTube動画のワンシーンが何かと参考になりそうです。ハイ。 (^^)

香道志野流では、香道具の銀葉箱に入れる銀葉は基本16枚と聞いています。
組香目録に載っている二百数十組のほとんどは16枚もあれば十分かと思いますが、オーバーする組香もいくつかあるようです。

(試香+出香)の数が17炷以上となりそうな組香は、最多25炷を数える「五常香」をはじめとして、「八景香」「烟競香」「源氏京極四町香」など、片手に余る数の組香がありそうです。

上記のうち、「五常香」については2020.4.6付けのブログで、「八景香」については2021.10.7付けのブログで紹介しています。

「源氏京極四町香」については、2022.4.27付けのブログ<『源氏物語』六条院>の中で、舞台や香種を紹介しています。改めて、ブログ記事の一部をそのまま再掲したいと思います。

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『源氏物語』の六条院については、京都・風俗博物館のHPにある「六條院拝見」に詳しい解説がなされています。

その冒頭部分を引用します。
「六條院は、政治家としての権力と地歩を固めていく光源氏が造営した大邸宅である。源氏三十四歳の秋に着工し、三十五歳の八月に落成した。この邸宅は、六条京極(きょうごく)辺りに四町を占め、六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)の旧邸を西南の一郭に含み計画されたものであった。その敷地は約二百五十二メートル四方、総面積六万三千五百平方メートルである。この広大な邸を四町に区切り、春夏秋冬に配した各町に、四季を楽しめる庭と建物が工夫されていた。」

そして、春夏秋冬に配した各町に、源氏はゆかりのある女性を住まわせています。
即ち、東南(辰巳)の春の町には源氏と紫上(後に女三宮が同居)、東北(丑寅)の夏の町には花散里、西南(未申)の秋の町には秋好中宮、そして西北(戌亥)の冬の町には明石上となっています。

光源氏を取り巻く複雑な人間関係(特に女性関係)は、追って行くのがとても大変です…。 (^^)

下は、中部大学・池浩二教授による「『源氏物語』の住まい」に記載されている『源氏物語』六條院の想定平面図です。
出典:『源氏物語 六條院の生活』(光琳社出版)

また、池研究室による六條院の全景模型図です。
出典:『最新国語便覧』(浜島書店)

こうした想定平面図・模型図を眺めていると、物語の中から大邸宅が飛び出してきて、あたかも実在していたかのような錯覚さえ覚えてしまいます。
余りにもリアルで、すっかりその気になってしまうからです。 (^^)

六条院を舞台にした三つの組香について、『源氏物語』との関わりは以下のようです。

「四節香」…香九種の中に[紫上・花散里・秋好中宮・明石上・源氏]
「源氏京極四町香」…香五種の中に[紫上・女三宮・花散里・明石・源氏]
「小蝶香」…香四種の中に[紫上・秋好中宮]、そして和歌二首

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上記の【源氏京極四町香】は、(試香4包+出香13包)の計17炷を聞く組香となっています。

◆香五種
紫上 として 四包で内一包試
女三宮として 同断
花散里として 同断
明石 として 同断
源氏 として 一包で無試

◆聞き方・点数など
試み終えて、出香十三包を打ち交ぜ炷き出します。
源氏の当りは長点で、一人聞き四点、二人聞き三点、三人より二点。
他の当りは平点、但し一人聞き長点で二点、二人より平点で一点。

この組香では、三十組【四節香】の「秋好中宮」が「女三宮」にかわっています。 (^^)

※公園のクチナシ