正月事始

暦を見ると、今日12月13日は「正月ことはじめ」と記してあります。
お正月までほぼほぼ半月となり、文字通り、正月を迎える準備をはじめる日となっています。

御多分に洩れず、元は旧暦十二月十三日の行事。
『季節を愉しむ366日』によると、古代中国の発祥で江戸時代に暦注として使われた「二十八宿」では、最吉日にあたり婚礼以外は万事吉というめでたい日であったとか…。
そのため、この日に江戸城で「煤払い」が行われるようになり、やがて庶民の間にも広まったといわれているそうです。

旧暦(太陰太陽暦)は明治五年十二月二日までで、あくる日を新暦(グレゴリオ暦)の明治6年1月1日に改暦し、諸々の行事を新暦の日付にそのままスライドしたことから、今日に至ってもなお、ことあるごとに旧暦が顔を覗かせているのが実情です。
例えば、3月3日「上巳の節供・桃の節句」にしても、「月遅れ」と称して4月3日に行なう処、旧暦のまま三月三日に行なう処など、節供は日本各地でフレキシブルに楽しまれています。

今年も残すところ半月ばかり。
振り返れば、月日の流れの速さにただただ驚くばかりですが、少しづつ一年の終わりに向けて、家の内外・心の内外の「大掃除」を始めたいと思っているところです。

十二月も半ばとなり、香道では組香「歳暮香」が盛んに行なわれるようです。
毎年のことながら、一年を締めくくるに相応しい、年の終わりを実感する組香となっています。

【歳暮香】
◆香は四種
年(とし)として 四包で内一包試
月(つき)として 同断
日(ひ)として  同断
客として 三包で無試

◆聞き方など
試みを終え、初めに「年」二包に「客」一包を加えて一結びにし、「月」「日」も同じように一結びにします。残る年・月・日を一結びにして、計四結びを結んだまま打ち交ぜ、一結びづつ打ち交ぜて炷き出します。(出香は計12炷)
銘々の聞きに以下の名目があります。

年ウ年は年内立春、年年ウは歳暮魂祭、ウ年年は老後歳暮、月ウ月は旅泊歳暮、月月ウは山家歳暮、ウ月月は海辺歳暮、日ウ日は除夜歳暮、日日ウは市中歳暮、ウ日日は羇中歳暮、年月日は歳暮述懐、年日月は歳暮懐旧、月年日は関路歳暮、月日年は川辺歳暮、日月年は旅宿歳暮、日年月は雪中歳暮

「歳暮香」の名目については、2020.12.11付けの記事の中で幾つかを紹介しています。

ところで、今年の立春(2月4日)は旧暦の一月十四日で「年明け立春」、来年の立春(2月4日)は旧暦の十二月二十五日で「年内立春」、旧暦ではこの一年の内に立春が二回あることになります。

実は、旧暦では一年の内に立春が二回あることは決して珍しいことではありません。
今年の場合は、旧暦二月の後に閏二月があったため、旧暦の一年(計十三ヵ月)が長くなり、このような巡りあわせとなっています。

年内立春といえば、矢張り『古今和歌集』巻頭の歌ですね。(^^)

ふるとしに春たちける日よめる  在原元方
年の内に春はきにけりひととせを こぞとやいはんことしとやいはん