大晦日

令和五年(2023年)が間もなく終わろうとしています。
この一年、病気や怪我に悩まされることなく、無事に過ごせたことに先ずもって感謝です。

コロナ禍が明けたわけではありませんが、お茶会・お香会は以前のようなスケジュールで開催されるようになり、マスクは個人の判断に委ねられて、気分的には随分と楽になったように感じています。
ただ、お濃茶は各服点が多いように感じていますが、処によっては回し飲みに戻っているという話も聞いています。

大晦日は年越しそばを食すのが習いとなっています。
『季節を愉しむ366日』には、細長い蕎麦にかけて長寿を願ったり、切れやすい蕎麦に旧年の苦労との縁切りを願ったりなどの縁起を込めて、江戸時代に広まった風習とあります。
地方によって食べ方はいろいろ、我が家は鶏肉を入れるのが例年の年越しそばです。

大晦日は旧年・古い年を取り除く意で「除日(じょじつ)」、その夜は「除夜(じょや)」。
百八回の鐘の音が響く除夜の鐘は、人が持つ百八の煩悩をも取り除くと言われています。
煩悩がたくさんあることは想像に難くありませんが、数えてみてもとても百八には届きそうにありません。

除夜の鐘は年をまたいで何故に百八回撞くのか、諸説あるようですが以下はそのうちの二つ。

①一年の「十二ヵ月+二十四節気+七十二候=百八」とする説。
ふるとしに万感の思いを込め、新しく迎える年が平安であることを願う百八回ということでしょうか。
旧暦では閏月のある年(十三ヵ月)もありますが…。 (^^)

②「四苦八苦」の説。(四×九+八×九=百八)
人生の四種の苦しみ、生苦・老苦・病苦・死苦。
人生の八種の苦しみ、生・老・病・死の四苦+愛別離苦・怨憎会苦・求不得苦・五陰盛苦。
愛別離苦(あいべつりく):愛する人と生き別れる苦
怨憎会苦(おんぞうえく):うらみ憎む人と会う苦
求不得苦(ぐふとくく):求めるものが得られない苦
五陰盛苦(ごおんじょうく):心身のはたらきが盛んである苦
※出典『日本国語大辞典』

まったく関係ありませんが、百八で思い出したのが百八歳の祝い「茶寿」。
茶の文字を分解すると、二十・八十・八となり、足して百八となることから…。
人生百年時代などと言われているようですが、数字を聞いただけで気が遠くなるのが「茶寿」です。

ともあれ、今日は大晦日。
新年を迎える準備はすっかり整いました。

大晦日になると、数年前に「洗心茶会」で掛けられていた句を思い出します。

埋火や夜中は明日の人通り

くる年が良い年でありますように…。